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2017.10.24 Tuesday | by スポンサードリンク

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Ms. Lauryn Hill @ One Live (2016/10/29, 横浜赤レンガ倉庫)

2016.10.31 Monday | by garahebi

Ms. Lauryn Hillのライブ・パフォーマンスがあのSoul Campから1年後という比較的短いインターバルでまた観られるとは!昨年の終演直後の笑顔を見て、そのうち来てくれるかもしれないなとは思ったものの、これほどの間隔の短さは予想できなかった。やはり前回の来日中のオーディエンスの反応に何らかの手ごたえを感じていたのだろうか。

ともあれ今回の彼女の来日中の他の単独公演(今回はチケットの値段は常識の範囲内に収まっていた^^;)は平日開催。

とても行けそうになかったので、こういった土日に行われるイベントに出演を決めてくれたのは実にありがたいことだった。

前回はタイムテーブル通りに始まった彼女のパフォーマンスだったが、この日は1時間遅れでスタートした。

ただこれは彼女が悪いわけじゃなく、突然の大雨が原因だった。

今回彼女が登場したNescafeアンバサダー主催のOne Liveというイベント、天気予報では会場の赤レンガ倉庫のあるあたりは降水確率は10-15%となっていたのだけど、ふたを開ければトップバッターのCrystal Kayの時点からちょいちょい小雨が降る瞬間があった。休憩タイムとすることにしたKのあたりは大したことがなかったが、3番手の平松愛梨の時は例の「部屋とYシャツと私」が終わったあたりから結構な本降りになった。元からその曲聞いたらさっさと休憩に入ってしまおうなんて思っていたわけでもないのだけど、ちょっと気の毒なタイミングだった。周りのお客さんもとりあえず屋根のある倉庫の方へ退避。

その後に登場したTLCの時には雨はある程度はやんでいたので存分に楽しむことが出来た。

そしてこのイベントのヘッドライナーであるMs. Lauryn Hillのステージの時間がやってきたわけだが、ショーが本格的に始まるまでが大変だった。まず予定より10分ちょいほど遅れてDJが登場して例によってレゲエとヒップホップのクラシックスをプレイし始めたのだが、バンドが入ってくるよりも前に、それまではパラついていたぐらいだった雨が本格的な大降りになってしまった。

たまらずステージの上も下も退避モード。ステージ上の機材にはカバーがかけられ、しばらく再開はなさそうだという空気になった。このまま雨が降り続けたら、最悪の場合ローリンのステージは行われずに終わってしまうのかなと思っていたが、なんとご本人が待機し続けているとの情報がアナウンスされ、とりあえず自分たちは雨がある程度まで弱まることを祈りながら倉庫内で待機することになった。

果たして当初の開演時間から1時間遅れのタイミングで雨が止み、機材に掛けられた雨除けのカバーもすべて取り払われ、晴れて(?)ショーが再開される運びとなった。

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まさかまたDJタイムから再開するのか?という心配をよそに、まずバンドメンバーからがステージ上に上がってくれたのはありがたかった。ベースとサックスの奏者は半袖だったが寒くなかったのだろうか…?

昨年同様バンドが先行して演奏する中、スタッフに先導されてついにLauryn Hillが登場。

昨年は衣装がショーを構成する要素で唯一の残念なポイントだったが、今回のローリンはベージュのロングコートに黒のベレー帽という想像以上にクールな装いでまず安心した。でもその出で立ちはどこかブラック・パンサーのボビー・シールを連想してしまったり。考えすぎだろうけど別の意味でちょっと心配になってしまった。ただその軍人然とした佇まいは、例によって腕を振りバンドをぐいぐい引っ張りまくる振る舞いにやたらと似合っていたのも確かだった。

ただ、自分のいた席はステージ向かって正面からやや左にずれたところだったので、ローリンの顔はあまり直接拝むことはできなかった。理由としては、元からステージングとしてはスタンドマイクのところに立っている時は向かって右向きに立つことが多かったというのがあるのだけど、さらに今回はなぜかバンドメンバーの配置が妙にステージ中央に寄せた形になっており、ローリンが左右に動き回ることがなかったことが大きい。もちろんもっと長い時間をとっていればそういった瞬間もあったのだろうけど、今回はほとんどスタンドマイクのある中央から動かなかった。また、昨年同様バンドのメンバーに指示を出しまくっていたが、ほとんどがステージ向かって右側のメンバーに対してのものばかりだったのも影響した。

それでも左右の縦長のモニターでアップになる瞬間を確認することはできた。モニターを通してではあるが見ることが出来た彼女の顔は、メイクもバッチリでお世辞でもなんでもなく美しかった。

そして今回のショーでなによりもうれしかったのが、昨年のセットリストになかった曲が2曲も、それも冒頭から披露されたことだった。特にEverything Is Everythingは大好きなので1曲目から聞けたのがたまらなかった。この曲のライブ体験というと、これまで共作者でありオリジナルバージョンでピアノを弾いていたJohn Legendのショーでちらっと聞いたことがあるぐらいで、本人の歌唱で聞けるのは今回が初めて。相変わらずというかやや早めになるアレンジは入っていたが、思いのほか原型はとどめていたので、もうこの1曲だけでも満足してしまいそうになった。

ところがさらに続けてWhen It Hurts So Badまで披露されたのだから驚いた。

まあ、こちらはスローにしたり早くしたりと曲の途中で転調するなどいじりまくられてはいたのだけど…

その後は昨年のセットリストから主にソロ曲、それもMTV Unplugged 2.0Miseducation of Lauryn Hillの曲だけに絞って披露された。

コーラス3人と合わせた振付でのダンスタイムからFinal HourLost Onesの超高速パフォーマンスへと移行する流れも健在。

大きく変わったのがEx-Factorで、前回の踊りまくりのイントロが消えて、テンポもグッとオリジナル寄りに落としたアレンジに変わっていた。演奏も随分とメロウになり、これはしっとりと聞けて良い変化だった。

ただ、例のブリッジのところはなぜか以前と同じく早口というか詰込み型の歌唱のまんまだった…

70分ちょいと短いセットだったのもあるのだけど、Fugees時代の曲やBob Marleyメドレーのところを潔く削った分、こちらが聞き疲れてしまう瞬間が一度もなかった。フェス向けとしてかなりタイトで良いステージにまとまっていたと言える。

さらに、喉を長時間酷使しなかったからだろうか、締めのDoo Wopではやや高音なるところもある程度はちゃんとローリンが自分で歌っていて、声の通りも良かった。

終わってみれば、今回も安心して見られたし、総じて良いステージと言えるものだった。

今のMs. Lauryn Hillの状態が好調であることが再確認できたのは大きい。

…とかなんとか大げさなまとめをする必要はないかな、今回は。

どんな曲をやったかとかクオリティーがどうこうというよりも、今回に関してはあの大雨状態からショーが再開できるぐらいにまで天候が回復しただけでもう十分な状況だった。そして、もし始めから終わり時間が決まっていたのを無理やりやってくれてるのであれば、20分ぐらいで終わったとしても文句ないなと思っていたので、むしろたっぷりやってくれたと感じている。フェス向けのものとしてはかなり良いものを見せてもらえたと思っています。

そして、次があればまた見たい。出来れば屋根のあるところで、今度はもうちょっと長尺で。

Fugees時代の曲はさておき、やはりNina Simoneのカバーや の改訂版といった2015年以降、現在進行形のMs. Lauryn Hillの声を、この素晴らしいバンドの音を、また生で聞きたい。そう思わせる力強さと輝きが今のLaurynのステージには備わっている。


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<Setlist>

1. Everything Is Everything
2. When It Hurts So Bad
3. (I Gotta Find) Peace Of Mind
4. Freedom Time a.k.a. War In The Mind
5. Mystery of Inquity
6. Final Hour
7. Lost Ones
8. Ex-Factor
9. Doo Wop (That Thing)


TLC @ One Live (2016/10/29, 横浜赤レンガ倉庫)

2016.10.30 Sunday | by garahebi

2009年のSpringrooveで見たとき以来なので自分が思っていたよりもブランクがあったんですが、ひさびさに見たTLCはさすがに2人体制での見せ方が成熟していました。

まあさすがに7年ぶりということでこっちも向こうも同じ分だけ年はとっているわけで、T-Bozがまたちょっと大きくなっていたのはやむなしですが、Chilliは体型がほとんど変わっていないのが驚異的。


相変わらず歌はほとんどというか9割以上がリップシンクだと思うけど、生でドラマーが音を重ねたり、2人とも生で歌ってますというポーズのとり方がより自然に見えるようになっているため、元の音源を聞きこんでいない人には本当に歌っているかのように見えるかもしれない。

今回は男女2組、4人のダンサーを従えていて、そこまで活発に動けるわけではないTの分を補って余りある役割を十分に果たしていた。やはりPVでのダンスが印象的な曲のパフォーマンスではダンサーがいると大きなステージでは映えるので、彼らのような存在はありがたい。

 

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セットリストに関して言えば、いきなりCreepから始まったのには意表を突かれた。そして、以前見た時はオープニングで使われていたFanmailが中盤に配されていたのにも驚かされた。これはつまり2009年も開演向きだからとかそういう理由でやっていたわけではないという裏付けにもなる。ただただファンへの感謝を伝えたいという意気込みの表れだろう。大好きな曲なだけにこういった短いセットの中でも生き残ってくれたことは素直に嬉しい。

 

そういった意味では日本先行配信となった新曲が2曲とも披露されたのも意外だった。

特にJoyrideは先述のFanmail同様ファンへの感謝を述べた内容であり、これからも共に進もうという力強いメッセージが込められた曲で、適度にポップさもあるため非常に聞きやすい。ひょっとしたらと、あらかじめ何度か聞いておいてよかった。

同時発売のもう一曲、Hatersはというと、正直なところ楽曲的な面白味はかなり乏しい。事前にやはりApple Musicとかで聞いておいたのだけど、何度聞いても好きにはなれなかった。今となってはこちらは省いて別の過去曲やってくれても良かった気はしているのだけど、よく考えたら2曲同時リリース、さらにすぐにライブで披露、というのは今までになかったことだし、彼女たちのやる気を感じたアクションであったことは確かなので、そこはポジティブに受け止められた。

実際、MCでは日本のiTunesチャートで1位にしてよねー!とファンに呼びかけていたぐらいだし、1位になるかはさておき、日本のiTunesチャートの動向はそれなりに気にしていると思う。(なにしろ日本先行配信なのですよ)

ファンなら最低どちらか1曲は買っておいてあげましょう。


 

 

生歌には元より期待していなかったし、彼女たちのショーは目と雰囲気で楽しむものだと思っていたので、全体的にはポジティブな印象は抱いたショーだった。

ただ、1点だけものすごく気になったのが、Left Eyeの不在だ。いやいや故人だからしょうがないだろ、とかそういう話ではなく、左右のスクリーンの形が縦長という特殊な形状だったせいなのか、ショーの間にリサ・ロペスの在りし日の姿が一瞬たりとも映されることがなかったのだ。ひょっとして映像には含まれていたけどあのスクリーンの形のせいで映らなかっただけだろうか。あるいは肖像権等に関して何か遺族と取り決めでもされているのだろうか。(ビルボード東京の公演で売られていたというTシャツも文字ばかりのデザインだった模様)

もちろん曲の構造として省略のしようがないAin't 2 Proud 2 Begなどでは彼女の声は聞こえていた。だが、なによりこれまでライブにおいて特に盛り上がっていたNo Scrubsでは、映像での登場どころか例のラップパートそのものが省略されていた。これはなかなかの衝撃。フェス向けの短いセットだからという理由で削られただけならまあいいのだけど、この辺の扱いには違和感をずっと感じていた。

 

違和感についてはもう一つ。

ショーの最後に披露されたWaterfallsについても書いておこう。曲前にT-Bozが「最後はリサのお気に入りだった曲をやるからみんなも歌ってね!」と言っていたのには胸が熱くなった。ただ例のLeft EyeのラップのところでバックトラックがなぜかLL Cool JRock The Bellsに変わるという音としてはそれなりにかっこいいんだけど意図がよく分からないアレンジが加えられていた。そういえば、どこかの曲間でなぜかDJタイムを始めようとして(実際に始まってしまったのだが)TLCの二人に「やるの?」と驚かれるなど、この日のDJ氏(日本人?)は空回りしていたと思う。普段のセットに入っているとしても、今回は短い出演時間なのでDJタイムは省かれる予定だったのではないだろうか…?

 

 

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-Setlist-
Creep
What About Your Friends
Ain't 2 Proud 2 Beg
Diggin' On You
Red Light Special
Silly Ho
Damaged
Baby-Baby-Baby
Unpretty
Fanmail
Joyride
Haters
No Scrubs
Waterfalls

どのアーティストのライブに行ってみたい?

2016.10.21 Friday | by garahebi

どのアーティストのライブに行ってみたい?

更新頻度の低すぎることに対しての危機感より、普段あまりやらないこともしてみようと思っています。

と、いうことでJUGEMさんの出してるお題に乗っかってみる。

 

観に行ったことないアーティストということで。

そもそもお金や時間の関係で行けてないのばかりなのですが…あ、でも有名だから行っておきたい、というのは省きました。普段から聞いている好きなアーティスト限定でないとね。

↓思い浮かんだ順です。(Soul/R&B系はビルボードライブのアンケートに何度か書いたことありますね^^;)

 

Rahsaan Patterson

Josh Osho

Silk

Rival Sons

Sons Of Texas

Metallica

Maroon 5

Aerosmith

Taproot

Gary Clark Jr.

Stevie Wonder

Morris Day & The Time

Emily King

Usher

Justin Timberlake

Sade

Taylor McFarrin

Michael Kiwanuka

Diggs Duke

Bruno Mars

Bradlee Scott's Post Modern Jukebox

Jay-Z

Eminem/Dr. Dre

Outkast

Kendrick Lamar

Rah Digga

The Internet

N'dambi

CeeLo Green

Leela James

Adele

Emeli Sande

Alicia Keys

Faith Evans

Monica

Perfume

Babymetal

Kazumasa Oda

 

しかしリストアップの過程で、今年は学生時代に聞きまくっていて、ライブにもずっと行きたかったけど行ったことがなかったアーティストがたくさん来日してくれた年だったんだなと改めて気づかされました。本当にありがたいことです。

そしてこれからBlood OrangeCon BrioJames BlakeGuns 'N RosesAlabama Shakesも行く予定。

いずれも初なんです。

来年1月に韓国からツアーをスタートさせることを発表したMetallicaも日本に来てくれるといいなぁ、と思っていますが…

 

JUGEMテーマ:音楽


TペインとA・パークがコラボレーション!…するかもしれない。

2016.09.30 Friday | by garahebi

2年ほど前、NPR Musicの人気企画Tiny Desk Concertで生歌でもイケることを世に再認識させたT-Painが、先週の来日公演も素晴らしかったAnderson .Paakの同企画でのパフォーマンスをtwitter上でべた褒めしたところから相互のやりとりが始まり、将来的なコラボレーションを予感させるところまで行ったところにワクワクしてしまいました。

どちらも大好きな自分としては非常に楽しみです。

 

一連のやりとりはこちらで確認できます。↓

途中でDJ Green Lanternが紛れ込んでますね^^;

https://twitter.com/AndersonPaak/status/781532535360622592

 

T-Pain

Anderson .Paak & The Free Nationals


Andra Day @ Blue Note Jazz Festival (2016/09/17)

2016.09.29 Thursday | by garahebi

Andra Day劇場日本公演第一弾。単独公演も控えた彼女の最初の日本での舞台となったのは今年のBlue Note Jazz Festival 2016だった。若手中心のDiz Stage側の最後を飾った彼女のパフォーマンスは、思わず劇場という表現を当てはめてしまいたくなるような、ステージの広さを目いっぱい活かした、スケールの大きく表現力の豊かなものだった。

 

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開演前からスツールをステージ中央に3つ並べておき、ギタリストとベーシストが左右に、真ん中のスツールには後から入場してきたAndraが座って歌い始めるという幕開けだった。

確か序盤はForever Mine→Goldだったか。途中で手をベーシストの肩に置きながら歌うなど、上に立つボス・レディとしてのたたずまいと、仲間としての連帯感を同時に感じさせる頼もしい振る舞いを見せていた。

 

彼女がパフォーマンスの間中、常に飲み物を手元、あるいは足元、テーブル等に置いておくのが気になる人はいるかもしれないが、あの独特のコクのある声を保ちながら歌い続けるのには細心の注意が必要なのではないかと思っていたので、個人的には受け入れられる範囲のことだった。(ショーの間に水分補給している姿をまず見せることがないビヨンセ・ノウルズは極めて特殊な例だろう)

 

基本的な進行スタイルとしては、MCでまずこれから歌う曲について説明をしてから歌い始める、というかなり律儀なやり方で、アンドラ・デイというアーティストは区切りや段取り、そしてショー全体の構成に対しての意識が極めて高いタイプではないかと思わされた。

そして彼女はステージ上のパフォーマンスと、それに対しての観客側の拍手や歓声などのリアクションのやりとりをconversationと捉えているようだ。どの曲だったか、MCの冒頭で「ではconversationを続けましょ。いいわね?」と語り始めたあたり、非常に印象的だった。

ショーがパフォーマーから観客へという一方通行なものではなく、相互に働きかけるインタラクティブなものであるという考え方は目新しいものではないかもしれないが、これだけ明確にステージ上で表してしまう人はそんなにいない気がする。特に、キャリアが長くない人ほど自分のパフォーマンスでいっぱいいっぱいで一方通行になることも珍しくない。つくづくこの人はただ者ではないなと思わされた。

とはいえ、このBNJFの環境では観客の位置とは高低差がある上に、ステージから観客までの間にちょっと距離が空けてあったので、想定していたほどインタラクティブな感じは出ていなかったかもしれない。もちろん非英語圏の観客がほとんどであったことも多少影響はあったかもしれないが、この辺りはBlue Note Tokyoでの単独公演でどうなるのかを期待しておきたいところ。

 

もちろんこのフェスの場においても十分に分かったことがある。

Andraの歌の表現の豊かさだ。

お恥ずかしい話だが、一番初めにアルバムを聴いたときの印象としては、特徴のありすぎる声の影響もあってか、柔軟さに欠けるのかな、というものだった。その後はその印象こそ薄れていったが、それでもライブで飽きることなく見続けられるだろうかという不安は若干残っていた。

しかし、生で見たAndra Dayは、とてつもない才能を持ったパフォーマーであった。

結局、ステージの間中、一瞬たりとも飽きることはなかった。

ライブでリアルタイムで見続け、聞き続けることで、彼女の歌唱は非常に表現の強弱、抜き差しが繊細で、のどの鳴らし方、呼吸の使い方などを細かく使い分けているのがよく分かった。マイクの位置、掲げる高さ、顔の角度などまで相当によく考えているし、時にマイクスタンドにすがりつくようにしたり、あるいはステージ上に膝をつき、這いつくばるような姿勢で歌い、首の向きひとつで感情表現をする。

そこで目撃したのはセリフの代わりに歌で語り手の感情を表現する舞台女優の姿だった

 

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さて、セットリストに関してはさすがにまだアルバム1枚。Record Store Day限定のものやiTunes向けのビデオのライブ盤なんてのもあったりするものの、やはりオリジナル楽曲が豊富にあるわけでもないので、その唯一のアルバムCheers To The Fallからが中心。リメイク版の映画Ben Hur用に提供した新曲、The Only Way Outなどもひょっとしたら…と思ったが、披露されることはなかった。まだライブ用の練りこみが出来ていないか、セットリストをフェス用に短くまとめた結果、外れたのか…

 

と、なると一般的にはやはりスケールの大きなバラッドであるRise Upがショーのハイライトとなる。

丁寧に丁寧に歌い上げ、見事にファルセットをコントロールする様は彼女の歌い手としての能力の高さを確認するのにうってつけの曲だった。この1曲を生で聞くだけでもアンドラの素晴らしさは十分伝わる。

 

ただ、生で目の当たりにして強烈な印象を覚えたのは、カバーを披露したシーンだった。

 

まずはNina Simoneのトリビュート盤、Nina Revisited...からのボーナストラックだったMississippi Goddamは、ただの再演ではなかった。途中でLil KimCrush On Youのフック、つまりThe Notorious B.I.G.のパートも混ぜていたのが意外で面白かった。例の"true"という合いの手のところまで歌っていたのが何よりユニーク。まあ謎なのは"I know you seen me on the video (true), I know you heard me on the radio (true)♪"のradioところをどっちもvideoとしていたことなのだけど…

 

ただ、それ以上にインパクトが大きかったのがKendrick Lamarの名盤Section 80収録のNo Make-Up (Her Vice)のカバーだ。このパフォーマンスは導入部の流れがもう確立されていて、演出、歌唱とどちらも実に見事だった。

 

まず、曲前に「Kendrick Lamarのファンはこの中にいるかしら?」と観客に向かって尋ね、手を挙げた人たちがいることを確認して「あなたたちのためにこれからこれを歌うわよ」言い残した後、曲のテーマに合わせて、ステージ上でメークを落とし始めてしまうのだ。そのプロセスの間にもAndraは観客に向かって話し続け、時に鼻の下をぬおーーーんと伸ばした顔を作ってお客さんを笑わせにかかってみたり、と演技を続けて飽きさせない。つなぎの時間をそうとは思わせない工夫が出来るわけだ。
その落ち着き払った佇まいと振る舞いは歴戦のエンターテイナー。Andra Dayは表舞台においてはこの時点でまだアルバム一枚出しただけのキャリアのはずだが、ついついそのことを忘れてしまいそうになる。

まあ、「ノーメイク」といってもタイミングとしてはショーの中盤のため、演奏するべき曲はいくつも残っている。そんなわけで、完全なすっぴんと呼べるほどごっそり落とすわけではなく、彼女のイメージの中でも強いインパクトを残すあの目の周りはバッチリ残してあった。

準備が終わり、いざ曲の演奏をバンドが始めると、Andraは例の歌フックのところだけでなく、メインとなるKendrickのラップの部分まで後付けのメロディで歌ってカバーしてしまう。こういったテクニックについてはもう、さすがというほかない。これはもちろん歌であってもラップであっても、詞において韻を踏む意識が強い英語圏の文化があってこそなのだけど、このフローからメロディーへの変換をどのように行うのかは完全に演者のセンスに依存する。

この変換をセンス良くやれる人は限られており、他にパッと思いつくとすれば、50 CentIn Da Clubを見事にアレンジしたBeyonceや、ラッパーのマイクリレーにあえて歌で切り込んだNe-Yo、あるいはラップも歌も自由に行き来できるCraig Davidあたりぐらいだろうか。いわゆる歌しかしない専業型ではない、モダンなアーティストばかりが連想されることになる。

これをもっと頻繁に行っているのは、意外にもAndra同様にレトロなアレンジを前面に出しているScott Bradley's Postmodern Jukeboxだったりするのが面白いところ。つまりAndraにしてもPMJにしても、音や衣装のスタイルとしてはレトロと呼びたくなる様なものを選んでいるが、感覚としては非常に現代的だということになる。こういったアレンジのものを歌いこなすシンガーはもちろんだが、そのアレンジメントを実際に行っているPMJのリーダーScott Bradleyという人はどういう人なのだろう。非常に気になる。

 

と、まあちょっと裏方の人の話になったので、ここでAndraのステージを支える男たちについても触れておこう。

バックを務めるバンドメンバーの腕前はそれぞれ抜群だった。

キーボード/ヴォーカルのCharles Jonesは、ひたすらポップで覚えやすい自作曲、Where Would I Be Without Youでは単独でリードをとり、その時にはアンドラはバックコーラスを務めた。彼の歌声単体でもちゃんと聞きごたえがあるのがすごい。また、ショー本編のラストとなったGood Bye, Good NightではAndraのデュエット相手も務めるなど、何かと目立っていた。

また、個人的にはサウンドチェックの時点からいい音出してんなー、と気になっていたギタリストのDave Woodの演奏は本番でもその上手さに驚いた。おそらくは元はロック畑の人なのだと思うのだけど、いかにもなテクニカルな演奏を見せつつも、おそらく客層に配慮もしたのだろう、決してうるさくならない音量に収めるあたりのバランス感覚が非常に素晴らしかった。

この日のセットでは、先ほどのKendrick曲の時と同様、Andraが観客に向かって「Queenのファンはいる?」と尋ねてからI Want It Allのカバーも披露したのだが、その時にももちろん彼のギターは大活躍だった。毛色の違うフェスに参加することも多いだろうから、彼のような存在は非常に大きい。

 

なお、基本的にショー全体でのバックコーラスは先述のキーボードのCharlesと、ドラマーのShay Godwinがやっていたようだけど、自分の位置からだと後者の様子はよく見えなかったのがやや残念。この辺りも次のブルーノート東京での単独公演で見てみようと思うポイントだ。

 

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01. Forever Mine
02. Gold
03. Mississippi Goddam [Nina Simone]
04. Honey Or Fire
05. Gin & Juice (Let Go My Hand)
06. No Make-Up (Her Vice) [Kendrick Lamar]
07. Where Would I Be Without You [Charles Jones]
08. Rise Up
09. City Burns
10. Goodbye Goodnight
11. I Want It All [Queen]


大林武司 feat. 黒田卓也 @ Weekend Music Salon 〜Jazzy Weekend〜 (2016/09/10)

2016.09.17 Saturday | by garahebi

まず会場に驚いた。

情報としては「赤坂bizタワー 2F アトリウム ピアノエリア」と書いてあったのだけど…エスカレーターを上った先にちょっと奥まったスペースがあり、そこにピアノが置いてある。その手前に20脚ほどのイスが用意してあったが、そこに入りきれなかった人たちはそこからさらに2メートル弱ほど離れて区切られたスペースから立ち見する。それだけの空間。

両脇には飲食店が並び、そこ目当てのお客さんは立ち見スペースの前をスタスタと歩いて横切って行く…おおう。


そうはいっても場所柄か建物柄か、お上品な人が多いので静かに、やや申し訳なさそうに移動するので興が削がれる瞬間が無かったのが救いだった。ただ演奏が無い時など静かになると今度は近くのエスカレーターの稼動音がひっきりなしに聞こえてくる。僕が体験した中でも屈指の不向きなライブ会場だったと言える。

とはいえTakeshi Ohbayashi/大林武司さんの演奏は端正で繊細で聞いていて本当に気持ちがいい。

普段バンド内にいる時とは異なり、彼のピアノ一本で紡がれる音に集中できる機会はレアだ。

選曲としても普段あまりやらなさそうなスタンダードなどが料理され、貴重なソロ演奏を十分に堪能することができた。

曲の前か後で曲名を言って下さるのも僕みたいなスタンダードすらろくすっぽ聞けていないビギナーにはありがたい配慮。

そして、中盤に差し掛かったところで事前のアナウンスどおり、Takuya Kuroda/黒田卓也さんも合流。

演奏以外のところでは相変わらずの面白お兄さんぶりを発揮。まず、会場まで歩いて登場する途中にあった和食の店の暖簾をさてくぐろうかという素振りを見せたりと、普通に入場しない(笑)

とはいえこの背もアフロも大きなトランぺッターの合流で、演奏もより華やいだものとなった。

よく考えるとドラマーなしでのピアノとトランペットのみという構成でジャズを聞くのは初めてかもしれない。

最後は昔よく二人で演奏していたという、映画Mo' Better Bluesの表題曲で締めた。

どんどん世界標準の舞台でステップアップしているこの若き日本人プレーヤーたちの共演を、こんな気軽なスタイルで楽しむことが出来るのも貴重になる一方ではないかと思っているので足を運んだ甲斐はあった。

最後に大林さんからは2017年にはドラマーにJose James/ホゼ・ジェイムスのバンドでも同時期に加入したNate Smith/ネイト・スミス(!)を迎えてのトリオ編成で日本ツアーをするという発表もあった。

関東での機会があればどれか一つは見ておきたいと思う。

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<Setlist(曲順は怪しいかも)>
Shining Stockings
Mambo Inn
見上げてごらん夜の星を
Voyage
London Town


(MCでの呼び込みからKurodaさん合流)

Like Someone In Love
This I Dig Of You
Old Folks
Mo Better Blues


Soul Camp 2015 (@豊洲PIT, 2015/09/23) - 4. Ms. Lauryn Hill

2016.09.16 Friday | by garahebi

期待と不安。

使い古された組み合わせではあるのだけど、僕が体感したことのある中で、ライブ前の気持ちを表すのに、これほどまでにこの言葉がしっくりくるアーティストがいただろうか。…いや、もう一人だけいた。

 

D'Angeloだ。

この人も以前からやはりショーの開始が遅れるとかいろいろつっこみどころのある人というイメージだったはずだが、Summer Sonic 2015ではきっかり定刻に登場して開演*1。

個人的にこれまで見たどのショウも敵わない、実に見事なパフォーマンスを見せてくれた。

そんな体験が直近であったこともあり、そりゃあ過去の日本での公演のあまりよろしくない評判ももちろん耳には入ってきていたが、ひょっとしたらMs. Lauryn Hillだって…とだんだんと期待値が上り始めてはいた。もちろん始まってみるまでは不安は最後まで拭えなかったのだけど。

 

ローリン・ヒルは彼女の年齢、喉のコンディションなどの今の状態から考えうる中で、間違いなくベストのものを届けてくれた。

 

それを可能にした要素のうちの一つとして、彼女の率いたバンドのパフォーマンスが素晴らしかったことにはぜひ言及しておくべきだろう。これまでライブで見たことのあるSoul/R&Bのソロアクトの中では群を抜く、12人という多人数のバンド編成。D'AngeloのオールスターバンドThe Vanguardよりもさらに大所帯だった。

 

Ms. Lauryn Hill(Vocals)
DJ Rampage(DJ)
Tanikka MyersTara HarrisonCandice Anderson(Background Vocals)
Raymond AngryMichel Ferre(Keyboards)
Jordan Peters(Guitar)、Jonathan Rosado(Bass)
George"Spanky" McCurdy(Drums)
Igmar Thomas(Trumpet)、Matthew Hartnett(Trombone)、Brent Birckhead(Saxophone)

 

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始まる前から会場の雰囲気は異様なものだった。

全員がソワソワしていたのではないだろうか。

 

実はこの日の自分の計画としては、ひとつ前のTalib Kweliのステージが終わったら、ちょっとステージから距離を置いたところまで離れるように移動するつもりだった。正直なところ、今のローリン・ヒルをかぶりついてまで見たいという欲求は僕の中にはなかったし、おそらくある程度の人が前に押しかけるだろうなとは予想していたからだ。ところがその欲求が強い人が予想していた以上に大勢いたらしく、タリブの出番が終わった時には僕はもう、その場からまったく身動きが出来なくなっていた。次のアーティスト待ちであらかじめ客席前方に陣取って動かない、いわゆる地蔵にすでに取り囲まれていたのだ。

今になって思うと、この時にトイレ行く必要のない体調で本当に良かったと思う。

ギュウギュウ状態で、本当に前後左右どこにも動けなかった…

(これ以降、よほどの美ジュアルを持つアーティストでもない限りは、ライブで前に詰めかけないスタンスをさらに強めるようになった…w)

 

 

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タイムテーブル上ではMs. Lauryn Hillのステージ開幕は18:40となっていたのだが、それよりも10分ほど早く照明が落とされた。まずはDJが一人で舞台上に登場して、場を温めるべく音を鳴らし始めた。Busta RhymesDangerousなどのやや懐かしいヒップホップ曲も一応はかかってはいたが、やはりというべきかBuffalo Soldier等のレゲエ定番曲が多めだった。ヒップホップのルーツの一つとしてレゲエがあることは知識としてはなんとなくあったものの、今回のSoul Campでは幕間にせよ各アーティストのステージ中にせよ、かなりたくさんレゲエ曲がプレイされていた。こういった体験もまた重要なことだなと今になって思う。

 

さて、そんなそのDJによるウォームアップの間にも、ステージ上にはバンドのメンバーが少しずつ登場し、それぞれの位置でスタンバイを始めていた。そしてバンドが全員揃ったところでDJタイムは終わり、数分間はバンドのみで演奏を行った。

さすが大人数での編成。音が分厚くて気持ちよかった。ステージ開演まで期待は徐々に高まっていった。

 

その演奏が続いている間にだっただろうか、最前列の方の観客が大騒ぎし始めた。

おそらく前の人たちの目でMs. Lauryn Hillご本人の姿を確認できたのだろうけど、自分の位置からはその時点ではあまりよく見えなかった。

 

しばらくしてようやく肉眼で見ることができた、伝説の生き物かと思っていたローリン・ヒルは想像していた以上にずっと小柄だった。昔のように髪を伸ばしていないこともあるのだろうけど、本当に小さく見えた。たとえるならそう、赤ちゃんが背筋を伸ばして歩いているかのような印象で…

ってそりゃこの衣装のせいだな…

後から知ったところによると、この日のステージ衣装は日本のアパレルメーカーが提供したものだったようで、彼女の趣味がこういう方向というわけではないようだ。でも選んだからにはそんなに嫌いでもないということか…

わ、わーい、マカロンと猫ちゃんがいっぱいニャ〜!(難しくいろいろ考えるのはやめた)

そんな小柄な彼女が、acoustic guitarを手渡され、舞台中央に置かれたやや低めの椅子に腰かけてからショーの本編が始まったものだから、序盤の手を伸ばしてスマホを掲げるお客さんだらけの環境ではしばらくの間は直接視認することすら難しかった。

 

と、ここまで読んでいただいたところで、僕が文句ばかり言ってるように思われてしまうのかもしれないが、実のところ、この2点。.螢▲ションに困る衣装、大してファンでもなさそうなくせに前方に位置どったミーハー客のかたまり、を除けば僕にとっては全くつっこむところがない満足度の非常に高いショーだった。

 

ローリンについて言えば、歌唱に関してはもうそれなりに年もとっているし、これまでの年月でずっと歌い続けてきたわけでもないので、高音なんて初めから期待してはいない。そもそも全盛期だって別に高音は売りにしてない声質だったわけで。そして今回、その部分は3人もいる若いコーラス隊に丸投げしていた。これは正解。彼女たちも本当にうまかった。

この手の若手シンガーを使っての完全分業型の対応はKaryn WhiteChaka Kahnあたりが近年のステージでやっているのを見たことがあるので、個人的には次善の策として受け入れられる範囲内。気に入った声の若手がいたら今のうちに目をつけておいて、これから応援しちゃおうというぐらいの心持でいるのもいいでしょう。

 

歌における加齢の影響は肺活量にも出てくるのではないかと思うのだけど、ローリンはそこは昔の曲のテンポを上げて補っているのだと思う。つまり一音ずつを短くして対応していたわけだ。そんなわけで、その編曲に不満を覚えてしまう人は、もう彼女のショーは見に行かない方がいいだろう。これからもテンポが元のように遅くなることはないと思う。

ただ、この人の場合、Killing Me Softly (With His Song)はもちろん、Stevie WonderBlame It On The SunにしてもFrankie ValliCan't Take My Eyes Off Of Youにしても、カバーの際に独特のアレンジで違った輝きを与えるセンスのある人なので、自分の過去曲をいじるにしても単にテンポを早くしているわけでもなかったりするわけですよ。それがまた楽しめるなら観に、聴きに行くだけの価値はある。

 

逆にただただ素直にすごいぞこれは、と思わされたのがラップの力強さ。

衰えなんてかけらほども感じることがなかった。

もちろん若干声は低くなっていたが、特に発声のキレはすさまじかった。

この良さを生かした新曲は出ないものだろうかとステージの間に何度思ったことか。

 

そしてもう一つ、これは実際にあの場にいないと分かりにくいことではあるのだけど、彼女の徹底したバンドマスターっぷりが印象的だった。曲の頭出しの合図なんてのは序の口で、コーラスの歌い方やバンドメンバー各楽器の音量など、曲の途中だろうがなんだろうが、とにかく指示を出しまくっていた。おそらくその指示の内容もかなり細かいニュアンスを含んだものだろう。

もちろんそれに即座に対応しながら演奏し続けてしまうバンドのメンバーも驚異的なのだけど。

こういったところを見てもやはり同じ年に見たD'Angeloの姿にかなり重なるところはある。声色こそJames Brownを思わせる発声をしていたことはあったが、あそこまでの上下関係は感じられず。どちらかというと入念なリハーサルをやったとおりの場面で合図を出している様子で、弾き方も音量もそれぞれのミュージシャンに任せるという横の関係、仲間に対する信頼感といったものが感じられた。

それに対してローリンとそのバンドの関係はかなり縦の関係が出来上がっているように見えた。ローリンの表情はほとんど和らぐことはなく、その腕の動きも軍隊の指揮官を思わせた。

ただあのいじる頻度の高さは、Dほどはショーの前から調整していないことを示唆していたような。その場のノリで変更が加えていられる様に感じられた。天才肌らしいというべきなのか。

 

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以下、本編の流れを順に振り返ってみることにする。

 

冒頭は2005年からライブでのみ披露されているConformed To Love。

その後しばらくはMTV Unplugged 2.0を基調としたパートになっていたが、Mystery Of Inquityのラップパートからは徐々にソロアルバムやThe Fugees時代の曲へと移行。この辺りからはローリンもギターを弾くのはやめ、椅子から立ち上がり、ステージ中央のスタンドマイクを主戦場とし始めた。

よく考えたらKanye WestAll Falls DownでサンプリングしようとしたのをLaurynが拒絶して(最終的にはSyleena Johnsonが歌い直した)以降、ローリン本人がこれを生で歌うところが見られたというのは実に嬉しかった。正直なところ、Unpluggedはめったに聞こうとする気にはならない作品だが、この曲だけはやたらと聞いていた。

その1

その2

 

この曲以外ではFinal Hourの力強さがまた特筆もので、もともと硬派な響きの曲ではあったものの、ライブでのパフォーマンスの熱さに惚れ直してしまった。

 

直後のEx-Factorでは、まずローリンの腕の振りでの合図からホーン隊が勇ましいフレーズを吹き始め、コーラス隊とともにローリンがぐいんぐいんと踊りまくるという意外な始まり方だった。正直なところ、歌い出しの"It could all be so simple〜"が聞こえてくるまで、何の曲のイントロやらさっぱりわからなかった。そして歌のスピードも若干早くなっていた。

このメロウネスを犠牲にファンキネスをとったようなアレンジに関してはきっとファンの間でも賛否あることだろう。

それでも当時日本でもCMで流れていたブリッジの"Care for me care for me, I know you care for me〜"のところはテンポ以外はさほど変えておらず、ここでやっと歓声が上がったあたりはオーディエンスのリアクションとして実に素直なものだった。

 

続いて聞きなれたドラム・パターンが鳴らされ、冒頭の"It's funny how money change the situation!"で大歓声。

もともと早い曲をさらに早めたLost Ones

もうこの曲の頃にはこの高速化のパターンにも慣れてきて戸惑わなくなっている自分がいた。

いや、テンポの早さよりも、それをこなすバンドの演奏力と、コーラス隊のレスポンスの見事さが戸惑いをはるかに上回っていたというのが真相か。テンポ以外にも、"you might win some but you just lost one"の繰り返しの回数が多くなっていたりといろいろとアレンジがなされていた。この手のリリックにおける直接的なアレンジは続くHow Many Mics(ホントに渋い選曲だ)でも行われており、フックの"say me say many money, say me say many many many"の後にもう一個moneyが追加されていた。

 

個人的にこのショーの中で一番しびれた瞬間が次の曲の始まり方だ。

まずローリンが合図をして、ステージ上のメンバー全員がしゃがむ。

→しばらく動かず、観客の頭の中で?が増え始めたあたりでローリンのdrop it!の合図

→DJがFu-Gee-Laのイントロの例の1音目の低音を鳴らす。

 

いやー…あの超低音が足の下から突き上げるようにして聞こえてきた瞬間に全身に鳥肌が立ってしまった。

 

低音がブーンと鳴り続ける間にローリンが立ち上がりながら"listen Tokyo...”とこちらに呼びかけ始めるのがまたとんでもなくかっこよかった。

 

おそらくこの低音イントロのところがこの日の全アクトのステージの中でも一番の大歓声が起きた瞬間だったと思う。

そしてありがたいことにこの曲のテンポはオリジナルのままだった。

(まあループされてる部分は生演奏での再現は難しいもんね)

 

なお、Wyclefのヴァースはローリンだけでなく、DJ氏も声を重ねて補強していた。

曲の頭の例の低音を鳴らし始めるために針を落としたのも当然同じ人なので、もしもこの人だけに注目して見ていたら、結構あわただしい事態になっていたことだろう。

そして、この曲の辺りからはもう、サンプリングされた音自体が肝となっている曲が多く、改変は少なかった。

そんなわけで、イントロだけでかなり盛り上がるというような時間帯となった。

 

もちろんReady Or Notでも例の一音目から大歓声だった。この曲でも基本的にはテンポも歌い方もほぼオリジナルのまま。そんなわけで"I play my enemies like a game of chess"の名フレーズがしっかりと聞けたのはうれしかったし、開演前にDJ Rampageが流していたBuffalo Soldierとも"The Buffalo Soldier, dreadlock Rasta”のフレーズできっちりつながる。

あのブリッジのYou can't run away〜♪では、予想以上に高いところでローリンも声が出ていて、驚くと同時に素直に感動した。

今思えば、この曲までがローリンの喉のウォームアップの役割を果たしたことになる。

かなり長時間のウォームアップだが、この後に続くのは歌が中心の曲ばかりだったので納得はできる。

 

そして始まったKilling Me Softlyではアカペラで始まるイントロから女性客のキャーキャーがすごかった。

こういう曲だと女性コーラスの3人の仕事が映える映える。

 

Fugeesコーナーが終わると、義父Bob Marley(& The Wailers)のカバー曲コーナーが始まった。

この部分もどうやらツアーでは恒例になっているらしい。

いずれにせよローリンとコーラス隊の歌のパフォーマンスがたくさん聞けるのはうれしいところ。

Jammin'ではStevie WonderMaster Blaster (Jammin')も交え、Is This LoveCould You Be Lovedへと流れていく。

(そう、ここでこの日の2番目のアクトだったThe Beatnutsが歌っていた替え歌の元ネタに気がついたんです)

 

ただ、振り返ると体感時間と曲数が合っていない。

1曲が長かったのか、知らない曲をやっていたのに分かっていなかったか…たぶん前者だとは思うのだけど。

レゲエ曲はそこまで好きというわけではないので、集中が若干途切れたのかも知れない。

それに、もうこの時点でMs. Lauryn Hillのステージは2時間は軽く超えていたと思う。

遠方から観に来た方も多かったことだろう、帰りの電車を気にして帰り始めた人も結構いた。

 

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ただ、残っていた我々にはご褒美が残されていた。

現在進行形の彼女の姿をライブで確認できたのがここからだった。

 

2015年のこの時点での最新のレコーディング音源はNina SimoneのトリビュートアルバムNina Revisited… A Tribute to Nina Simone だった。このコンピレーションアルバムへの提供曲数の多さを考えると、ローリンは相当に自信を持って世に送り出したことは想像に難くないし、実際にそこで聞ける彼女の年をとって程よく低くなった歌声は、Ninaの曲に非常にマッチしていた。(Robert Glasperのプロデューサーとしての手腕もあるのだろうけど)

 

そして、今回のSoul Campにおいて、僕が一番聞きたいと思っていたのはこのアルバムに収録された曲だった。

僕は懐メロも嫌いじゃないけど、どちらかといえばそのアーティストのその時点での最新曲をライブで聴くことに一番の喜びを感じる。ただ、例のNina…はホントに出たばかりだったので、まあ1曲でも聞けたら御の字かなというのが当初の望みだった。

 

果たしてその望みは叶えられた。

 

Feeling Goodはライブで聞いてもその低いところから始まる歌の力強さが見事だった。

アカペラからスタートしたあたりも、この曲を今の彼女が自信を持って歌えていることの証しだろう。

そしてこの曲が聞けたというだけでも嬉しかったところに、もう1曲披露されたのには心底驚いた。

 

続けて披露されたのはBlack Is The Colour of My True Love's Hairだった。まさかのNina Simone曲2連発!

この曲の間は場内の照明はローリンへのスポットライトの1本だけに絞られていた。

非常にシンプルな演出ではあるのだけど、こうかはばつぐんだ!

安易に使いたくはない言葉だが、「神々しい」と表するのがぴったりの光景であり、歌声であった。

その時の自分は教会の中にでもいるような気分になり、まさにその瞬間、神聖な何かに触れているような気分にさせられた。*2

この曲は歌唱、演出、共にこの日のローリンのパフォーマンスの中でも最高だったと思う。

 

最後は皆さんお待ちかね、のDoo Wop(That Thing)でシメ。

例のイントロのピアノのフレーズが鳴り始めた瞬間、場内はドッと沸き大団円ムードが広がる。

どれほどたくさんの笑顔が広がっていたことだろうか。

と同時に、「あーもう終わってしまうのか」と悟ってしまう賢者タイムでもあったのだけど。

なお、こちらもオリジナルのままのアレンジで、歌フックの高音部の歌唱はコーラス隊が大活躍だった。

 

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それにしても、まさかフェス形式のステージにおいて、これだけの長時間やってくれるとは想像していなかった。

ただ長くやっただけでなく、内容もはるかに予想を上回ってくれたのだから大満足だ。

ちなみに後から行われたチケット代(カジュアル席の値段が、ちっともカジュアル感のない¥40,000という設定だった)が話題になったビルボード東京での単独公演では、聞くところによるとBlack Is〜はなかったらしい。曲数が多ければいいというものではないのだけど、つくづくSoul Campに行っておいてよかったと思ってしまったのは事実。

 

2015年に見たいろんなライブパフォーマンスでも3本には入ることだろう。

サマソニでのDのステージが1位なのは揺るがないが、同じDでもZeppでの彼は緩すぎたので、ローリンのこのライブがそれより下になることはない。うん、2位確定でいいだろう。

 

最後に言及しておくと、そこまでパフォーマンス中にたくさん笑顔を見せたようには見えなかったローリンが、去り際に振り返った時にようやくとびっきりの屈託のない笑顔を見せていた。

おそらくそう遠くはない未来にまた来てくれるだろう。

 

その時はチケット代は控えめにお願いします…

 

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*1:数日後のZepp Tokyoではがっつり40分近くの遅刻。翌年の横浜でも同じぐらい遅刻。今思えばどうやらこの時のサマソニは奇跡の回だったようだ…^^;

 

*2:Mos Defのキャンセルには改めてため息をついてしまった。

Black Starとしてのステージが実現していれば、間違いなくその名義の曲はもっとやっていたはず。

そう、Astronomy (8th Light)でのTalib Kweliのリリックの中にはBlack is the colour of my true love's hairなんてフレーズが入っているのだから、もしもこの曲がパフォームされていれば見事な循環の輪が出来上がったことだろう。

(ご存知の方も多いと思うが、そのステージングや遅刻癖に批判も多いローリンを擁護する人たちの代表格がタリブであり、彼はその思いをつづったMs. Hillという曲までリリースしている。Right About Nowに収録)

 

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Setlist

1. Conformed To Love

2. (I Gotta Find) Peace Of Mind

3. Freedom Time a.k.a. War In The Mind

4. Mystery of Inquity

5. Final Hour

6. Ex-Factor

7. Lost Ones

8. How Many Mics

9. Fu-Gee-La

10. Ready Or Not

11. Killing Me Softly

12. Jammin' / Master Blaster

13. Is This Love

14. Could You Be Loved

15. Feeling Good

16. Black Is The Colour of My True Love's Hair

17. Doo Wop (That Thing)

 

 


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