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Jose James @ Billboard Live Tokyo (Feb. 21, 2018)

2018.02.22 Thursday | by garahebi

The Dreamerを本来リリースしたかった形でという意図で、曲の並びを変更した上で、以前Soundcloudで公開したりBrownswoodのBandcampでデジタル販売していたコルトレーン夫妻に捧げる楽曲を複数追加し、全曲のミックスをやり直したという10周年記念盤。その発売を記念してのショーはNYと日本でのみ行われるというまさにスペシャルな企画。(そのほかの国や地域ではビル・ウィザースへのトリビュート企画のショーでツアーしている。)
バンドはここ数年ではおなじみのメンバーを基調としつつも、ベーシストとしては過去最高のビッグネームといえるBen Williamsが迎えられた。
そして昨年はRichardだったドラマーはNate Smith。(ひょっとしたら公演先のリピーターに配慮して一年ごとに交代させているのかもしれない。)

開演前の期待としては、一つ前のポストにも書いたがRahsaan Roland Kirkの楽曲をスローダウンさせた上にクールな多重録音コーラスで別物にアレンジしきったSpirits Up Aboveが演奏されるかどうか、そしてどちらかといえば適性がRichard Spavenの方にありそうな展開を見せるNolaやRedといったドラムンベース的なパートがある曲をNateがどう料理するのかだった。
今挙げた3曲は、少なくとも僕がJosé Jamesのショーを見始めた年以降の公演では一度もライブで見たことがないので、やってくれるだけでも大喜びだ。


以下、恒例の時系列メモ風に。
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まずは最近のビルボードライブ東京の公演で多くなっている気がする2階席の方から階段を降りてくるスタイルで全員が一列で入場。

位置でいえばステージ左からキーボード・ピアノのTakeshi Ohbayashiさん、中央やや奥にベースのBen Williams、その右隣がドラムスのNate Smith。ステージ中央にスタンドマイクがあり、Jose Jamesがそこを中心に陣取り、やや右手に低めのトランペット用のスタンドマイクがありTakuya Kurodaさんが出番の時にやってくる。

そう、The Dreamerというアルバムは収録曲でのトランペットの出番はあまり多くない。そんなこともあってかステージの右端手前の方にスタンバイ用のテーブルとイスが2脚あるのが特徴で、各人のソロの時などにJoseや黒田さんがスポットライトを譲るために座ることになっていた。これは数年前のショーでも観られた配置だった。

全員が配置につくやまずMCから入るホゼ。

「今日はThe Dreamerの発売10周年を祝う特別なステージであると同時に、Takuya Kurodaの誕生日でもあるからさらに特別なんだ、バースデーボーイの彼に拍手を!」と観客に拍手を促し、ちょっと茶化すように妙に高い声でハッピバースデー♪と少しだけ歌うホゼに照れ笑いを浮かべる黒田さん。本当に仲のいい二人だ。

個人的に初めてホゼのライブを見た時にこの二人がフロントに立っていたので、揃っているところを見られると本当に嬉しい。
そういえばこのステージではまずバンドメンバーの紹介から始まったのも印象的だった。曲前からやった例はこれまで記憶にない。
ちなみにTakuyaさんのことはホゼがプロデュースしたアルバムのタイトルからrising sonと呼んだ。ここまではありそうだとは思っていたのだけど、さらにはfuture legendとも呼んでいた。最大限の敬意。これも初めてのことかもしれない。思えば僕がホゼのライブを毎年観るようになって以降、バンドメンバーの交代は数あれど、トランペットだけはいつも黒田さんだ。それは信頼の証ではあるのだけどここまでの賛辞はなかった様な気がする。近年の黒田さんの活躍ぶりや演奏を見続けてきた中で、何か確信めいたものを感じ始めたのかもしれない。
なお、Nate Smithについてはグラミー賞に2度ノミネート!と、Ben Williamsについてはthe legendaryをつけ、大林さんについてはthe one and onlyと紹介していたと思う。

1. Velvet
ホゼによる「1, 2, 3, 2, 2, 3…♪」というカウントから始まるところまで音源と一緒なのが嬉しいVelvetからショーがスタート。
アルバム版ではこの曲にはトランペットの出番はないのだけど、今回のステージではイントロからまずトランペットでのソロ演奏から始まった。このあたりはホゼによる黒田さんへのお誕生日祝い的な演出なのか。なお、途中にもトランペットのソロが入った。イントロで黒田さんが吹くところまではリハーサルしていたのかもしれないが、こちらはホゼが合図をしてそれを受けてから黒田さんが準備していた。以前からもそうだが、バンドメンバーのソロのタイミングはホゼが促すことが多い。
今回のステージではNateがドラマーなので、音源に漂うけだるさよりはビートの立った、勢いを感じるアレンジだった。なお、この日のホゼはこの曲からもう歌をターンテーブリスト風にいじる例のパフォーマンスを混ぜており、re-remember love等とループさせるアレンジを加えていた。

2. Blackeyedsusan
曲前に「この曲は会場の女性たちに」と前置きして始まったのはBlackeyedsusanだ。音源版とは逆に、Nateのドラムスから入り、「ベースはBen Williams!」と拍手を促すとその拍手の中、Benがベースを奏で始めるという始まり方だった。
ホゼの優しいヴォーカルが中心となる楽曲で、The Dreamer収録曲でもかなり好きな曲だったので、(この曲も初めて)生で聴けたことが嬉しかった。
音源と違うところとしては大林さんがここではピアノではなくオルガンで演奏していたところかな。曲の中盤を超えたあたりからは、その大林さんのソロからベンとネイトのリズムセクションによる演奏へと入り、だんだんとネイトの演奏に熱がこもっていく。元々の曲のテンポが近いこともあってか、その演奏パターンはJames BrownのFunky Drummerのブレイクに近いものがあったが、重みを感じるシンバルの音はSchoolly DのP.S.K. What Does It Mean?を彷彿とさせるもの感触もあった。
そんな爆撃の様なネイトに触発されてか、そこにホゼもメロをやや崩しながらBlackeyedsusanの歌を重ねる。
…と、ここでネイトが次第にテンポを落とし始める。そしてホゼも違う曲の歌詞を歌い始める。なんとここでアルバムのタイトル曲、3. The Dreamerにスムーズに移行したのだ。かなり長い曲なのでどう配置するのか気になっていたけど、まさか別曲の終盤に入れてくるとは!ただ、長くなりすぎないようにかソロは控えめだった気がする。

-MC-
意外なメドレー形式で演奏が終わった後、ホゼのやや長めのMCが始まったのだけど、ここが今回のステージを特徴づけたシーンで、後から思えばこれは完全なアドリブだったのではないかと思われる。
「古い曲からインスピレーションを受けることはよくあって、このアルバムでもRahsaan Roland KirkのSpirits Up AboveやFreestyle FellowshipのPark Bench Peopleをカバーしている。あとは、そうだなThe TemptationsのI Can’t Get Next To Youという曲も大好きなんだよ。ほら、”I♪...Oh I♪”って歌ってる曲だよ。
(ここからホゼはしばらくテンプテーションズ版に忠実に、各メンバーのパートごとに声色を変えながら口ずさむ。そこにネイトがハイハットを鳴らしてホゼの歌に合わせる。このあたりの補完の早さは見事だった。)
「その後だよね、Al Greenがカバーしたのは。テンポはこんな感じに落とされていて…」と今度はやや遅めのテンポで指を鳴らしつつ歌い始める。そこにBen Williamsがベースで続き、Nateも合わせていく。この配慮に興が乗ったらしいホゼ。
「ふふふ、ハイ、Benも歌って」
いきなりのフリに戸惑いつつベンも歌う
「…!??お、oh I♪」その無茶ブリに精一杯答えようとするベンのいい人っぷりとさらに調子に乗ったホゼの台詞「Ben Williams on vocals!」に、笑いと拍手が起こる。
この後どんな風に話していたか詳細にはあまり自信がないのだけど、アレンジメントの重要さについて話していたと思う。そしてオリジナルのテンポでSpirits Up Aboveを歌った後、今度はアカペラでやや遅くして歌い始めてバンドの演奏がそこに続く。が、曲にはしっかりと入りたいということかホゼは一度バンドメンバーには演奏を止めるように指示を出し、改めてベースラインを口ずさみ、指を鳴らし、そこにネイトがドラムスを合わせておなじみのイントロが始まった。

4. Spirits Up Above
ついに!待望の!ライブであのSpirits Up Aboveを聞ける時がやってきた!と興奮する僕の頭の中は「!」でいっぱいになった。この瞬間が来る時を何年も待っていたのだから。
…しかし実のところ、直前のMCでテンプテーションズやアル・グリーンのくだり同様にこの曲も鼻歌気味に歌い始めていたので、下手するとMCの中の小ネタで終わりはしないかと少し不安になる瞬間があった。だからこそちゃんと仕切り直して演奏が始まった時に、余計に喜びを感じたのだけれど。
ベースが印象的なあのイントロが生演奏で聞こえ始めた時点でおそらく僕は会場の誰よりも興奮していたかもしれない。
ローランド・カークのオリジナルと比べてもだいぶ遅いテンポにしてあるアレンジは、なるほどAl Green版のI Can’t Get Next To Youにも事前に言及していただけある、ということか。
ただ、このイントロを聴いている間にも数年越しの疑問が頭に浮かぶ。ホゼ版アレンジの最大の特徴であるあの多重録音のコーラスの部分はどうするのだろうか?卓也さんが歌うのか?さっきのベンの歌は前フリだったのか?…幸い歌はコーラス部分しかないという曲の構成上、すぐに答えは出た。意外にも、バックコーラスは一切廃してあった。録音済みの音源を使うわけでもなく、ひたすらホゼは一人で歌ったのだ。出だしは低いパートで渋く。低体温という表現すら頭によぎった程のクールさ。最低でも3つのパートでハーモニーを構成していたのが音源版だったが、その一番低いパートの再現と言うべきか。何のサポートもなしの独唱だったのでやや異質に響く。
まあ、この曲に限らず、いつもの「歌えるベーシスト」サロモン・ドーシーが帯同していないのいうこともあってか、今回のショーではバンドメンバーは一切歌わなかった。彼らはただただ演奏に徹していた。
もちろん昨年のツアーのように録音済みのホゼ自身のコーラス部分を流す選択肢もあったかもしれないが、それすらもなかった。
流石に序盤とはいえこれで続けるにはキーが低すぎて気分が盛り上がらないかもなー、と思っていたところ、次は1番高いパートの部分をひときわ熱い歌声で歌い始めるホゼ。これはカッコええ!なんだこのギャップ萌え一点豪華主義!(意味不明)
いやー、ここでの歌唱が翌日観た分も含めて最高だったと思う。好きな曲だからというひいき目抜きにしても、だ。
バックコーラスなしであっても、この熱さでひとりで歌えるのであれば、他には何もいらない。それほどの説得力のある、非常に力強い歌いっぷりだった。後はもう曲の間中、ひたすら彼の声の響きに浸るだけだった。至福のひととき。
ただ、この熱量とキーの高さは負担も大きそうだなとも思った。なんとなくこれまでセットリストに入っていなかったのも分かるような気がする。
とはいえ少なくともこのステージでは少しも揺らぐことないヴォーカルでほとんど歌いきったホゼは、終盤に入るとこの遅めのテンポの中でとある曲の歌詞の一部をループさせるように繰り返し始める。恒例ともいえるヒューマン・ターンテーブリスト・パフォーマンスだが、曲前のMCはここで前フリとして機能したことになった。
I...oh I♪
can’t get...can’t get next to...
can’t get next to you babe oh I...
なるほどそう来たかー。
実はこの曲はこの後にやる数曲でも途中に入っていた。ホントに好きなのね…
と、しみじみと思っていたところでバンドがホゼの合図でまた演奏をストップ。
ちょっとスクラッチ音も混ぜつつOh I...とI see an...を少しだけ交互に繰り返したと思ったら、そこからI see an old man sitting on the park bench〜と聞き慣れた詞に移行し、(looking up his) mustacheの直後からバンドの演奏も追随し始める。なんとスリリングな展開か。

5. Park Bench People
そう、もはや恒例というか、どんなアルバムの発売直後のツアーでもセットリストから外されることがなかったため、元々The Dreamer収録曲であることを忘れそうになりがちなPark Bench Peopleが今回も始まった。
中盤には黒田→大林→ネイトの順でソロが入った。もちろんみなさん素晴らしかったのだけど、やはりNate Smithのソロは凄まじかった。もはやお馴染みの光景となっている各種SNSへの投稿用にホゼがひたすらスマホでそのドラムソロの様子を録画し続けるシーンも見られた。ここでの彼は世界一幸運なネイトのファンである。ゆるい光景ではあるのだけれど、ホントに尊敬してるのが伝わってくる。
ネイトのソロ終わりで拍手が巻き起こる中、ホゼがスマホを再びマイクに持ち替えて歌い出すが、そのうち少しの間、演奏がパッタリと止められる瞬間が訪れる。どうしたのかなと思い始めるかどうかぐらいのタイミングでアカペラでラップを始めるホゼ。Dead PrezのPolice Stateだ。少し遅れて曲に合わせたテンポで演奏が加わり始めるのだけどこの再起動する際の音のうねりがまたカッコよかった。もちろんホゼのパフォーマンスなので、このまま普通にラップをカバーするだけでは終わらない。ドラムスに合わせて口でスクラッチ音やらを交えつつ、途中でさらに別曲に移行したり戻ったり。今回PBPにミックスされた別曲(毎年何が挟まれるのか予想するのが楽しみにしている)は、一昨年からの流れと同様、Dead PrezのPolice StateとBehind Enemy Linesの二曲だった。大まかな順番だけで書くと、PBP→PS→BEL→PS→PBPという様に、途中で行きつ戻りつして最後に元に戻るという構成。
選曲から察するに、一昨年のショーの様なあからさまな言及こそないにしても、ホゼのアメリカの現状への苛立ちや憤りはちっとも収まっていないのだろう。実際のところ改善はしていないのだから。
なお、ホゼのステージ上での動きには変化が見られた。狙いは正直よくわからないのだけど、敢えて一瞬口をつぐんで顔の向きを変えるモーションが挟まれていた。なるほど…
やはり分からん( ̄▽ ̄;)
ここにもし宗教的・政治的に深い意味があったら怖いので、大抵の疑問は終演後に本人に尋ねてしまう僕も疑問のままにしておいた…
なお、終盤にはこの曲の演奏中間に高まり過ぎたテンションを緩めるためか、急にテンポが落とされてから例のI Can’t Get Next To Youのフレーズが挿入されていた。何回挟むんだ…そしてそのホゼの自由な展開っぷりに顔を覗き込む様にして合わせていく他のメンバーはさすが。まさにライブショーの生らしさを堪能できた。

6. Desire
静かで遅いオリジナルよりもMoodymannによるリミックスを聞くことが多かったので、今回の記念盤でオリジナル版をじっくりと聞き直す機会を得てすぐのタイミングでこの曲をライブで聴ける幸福にしばし浸った。しっとりとした歌唱も完璧にこなすホゼの、おそらくパブリックイメージに一番近い声色が味わえる楽曲だろう。この曲に関しては派手なものはなくていい。
大林さんのピアノソロはひたすら心地よく、しかし対照的にネイトはこんな曲でもグルーヴを生み出そうとソロでハードヒットする。ここも面白かったなー。

-Encore-
7. Equinox
一度退場してすぐに戻ってきてのアンコールではJohn Coltraneのカバー。こちらは今回の記念盤で追加されたうちの一曲だが、この曲がまたホゼの男らしい低めの発声に非常に合っていて、今回のような企画色が強いショーでなくても、今後もまた生で聴きたい、生き残ってほしいと思わせる力強いパフォーマンスだった。

-終演後-
ミート&グリートの機会に、今回Spirts Up Aboveやってくれたのが個人的にものすごく嬉しかったですと伝えることができた。さらに何故この曲がライブで聴ける機会がここまでなかったのかを率直に尋ねたところ、「この曲はライブでやるのが難しいんだよ」とかなり直球に答えてくれた。さらに逆に「どうだったかな?」と訊かれたので、こちらも正直に「あのアレンジをどうあれをやるのか疑問だったけど、シンプルかつタイトで熱かったのですごく良かった」と伝えた。
ただやはりあの熱唱は負担が大きいのだろう、次の日に観たセカンドではこの曲は無かった。ファーストではやったと聞いたのだけど。今回のツアーでは二公演ある場合、1日のうちのどちらかでしかやらなかったのかもしれない。まああの全霊を込めた熱いパフォーマンスを見ればそれも納得だ。
最後に明日のショーも観に行くことを伝えたところでがっちりとした握手を求められた。この回だけでも大満足の見事な内容だったけど、次はどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろう。こんな期待を持たせてくれるアーティストはなかなかいない。


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2020.05.26 Tuesday | by スポンサードリンク

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