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2017.03.09 Thursday | by スポンサードリンク

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Bilal @ Billboard Live Tokyo (2017/01/23、2nd)

2017.01.24 Tuesday | by garahebi

昔の作品の延長のようなものを出すだけになっている様なベテランを除けば、目の前のマイク一本で勝負する専業型の歌い手の中で、自由自在に声を操れるという点でLalah Hathawayに最も近い存在と言えるのはBilalだろう。何度も共演しているCommonRobert Glasperをはじめとして、やたらと他のアーティスト作品への客演数が多いのもうなずける。

Lalahとは性別はもちろんスタイルは異なる。声質に独特のクセがあるため、人により好みがはっきりと分かれるし、歌唱スタイルとしてもより高い音、特にファルセットを多用するところが大きな違いだ。

そのファルセットにしても、古くはマーヴィン・ゲイロナルド・アイズリー、最近だと(もうベテランの域に入りつつあるが)エリック・べネイマクスウェルのような、いわゆるソウルマナーにのっとった、性愛を表現するための繊細なものではなく、強靭なんて言葉が似合ってしまうのだ。力強い感情のほとばしりを表現するために太く発せられるのが異色で、技術的にも相当に難しいだろうから、あまりいないタイプであることは確かだろう。こんな歌い方をできる人を私は(不勉強もあり)他に知らないのだけど、果たしてライブではどうなのだろうか?作品を重ねるごとにジャンルという小さい枠がどうでもよくなる奔放さが増す一方の彼の今を生で体感したいと思い、自分としても驚くほど早い段階で予約した。また、Roy Ayersとのジョイント公演こそあったものの、Bilal名義での単独公演としては初の日本でのステージということもあり、発表直後から自分の中での期待は非常に高まっていた。

開演時間になると、まずはバンドのメンバーからステージに上がっていく。

ビラル登場後の立ち位置は向かって左から以下のような並びだった。

(表記はビルボード・ライブのサイトからの引用)

 

Randall Runyon (Gutiar)

Micah Robinson (BGV)

Joe Blaxx (Drums)

Bilal (Vocals)
Conley "Tone" Whitfield (Bass)
Devon Dixon Jr. (Keyboards)

 

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まずステージ上にBilalが上がる前にバンドだけで演奏を開始。

曲名は分からないのだけど、これがまー、リズムとしては軽やかなのにウワモノがおどろおどろしい。

頭に浮かんだのは「史上最も不穏な甲子園入場曲」。

言葉だけだとちょっと意味が分からないかもしれないが聞いた人にはちょっとは同意してもらえるだろう。

 

そしてバンドのメンバーの中で最後にステージに上がったのがサポーティング・ヴォーカリストのMicah(以下、マイカ)だ。

上にあるようにビルボードのサイトではバックグラウンド・ヴォーカリストという扱いだが、バックコーラスだけでなく、時にビラルのリードの部分までも補ったり、掛け合いの相手になったりと、バックと呼ぶにしては範囲の広い役割をこなしていたのでそう表現したくなった。まあラップ・ミュージックのライブでいうハイプマンの歌版といったところか。声色もそこそこビラル似で、多重録音のコーラスのところ等を再現するのにも適した人選だ。こういうのは他の歌い手もやればいいのにと思いがちだけど、そんな便利な人材はなかなか見つからないというのが現実だろう。ビラルも観客である我々も実に幸運と言える。

 

さて、そのマイカがまず1st verseを独唱するところからStar Nowが始まった。

するとようやくビラルが登場し、コーラス部分から一緒に歌い始める。

 

ややレトロな雰囲気を醸し出す小ぶりのアフロの髪、黒のロンTにスキニーなパンツ、そしてそこにやたらとごついブーツを合わせているので体の細さが余計に目立つ。やや猫背っぽい感じで体が細いのもあって遠目からだとおじいちゃんというか仙人というような印象。歌仙人のじっちゃん。

まあホントにイメージ通りのビラルといった見た目。歌声も基本的には音源のイメージそのままで、まずはひと安心。

(この手の不安を開演前に感じるようになってしまったのは、昨年のソウルキャンプで別人のようなダミ声だったネリーのせいだろう)

 

イントロからそれと分かるAdrian Youngeによる独特のサウンドを、バンドがかなり忠実に再現していたのがまず嬉しかった。また、この曲に限らず、ムーグの音がアクセントとして終演まで何度も聞けたのだが、これがかなり良い味付けになっていた。

あくまでつかみという扱いなのか、Star Nowやや短めで終わり、続けてベースラインとオルガンが印象的なSirens IIへなだれ込む。A. YoungeのライブではLoren Odenが見事に自分のものにして歌っていたが、やはりオリジナル版のビラルの声で生で聞けたというのは感慨深い。唯一、イントロの例のギターの音でのタメがスキップされたのは残念だったけど、始まってしまえばさほどの和感はなかった

続くRobots(序盤だったかThe Flowも入っていたような気がする)を挟んで特徴的なドラムマシンの音のイントロからPleasure Toy。この曲が終わるとようやくこのステージで最初のMCタイムが始まった。

 

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お客さんを指定しては「靴を見せて」と言っては褒める、という流れが始まった。

おそらくこれはどの国でのライブでも定番なのだろう。2、3人のお客さん相手にそのやりとりを繰り返し、最後に「俺さ、靴が好きでね、かなり入れ込んでるんだわ、今日の俺のもすごくない?」といった語りから始まったのは、靴の話題をきっかけに女の子に迫る詞の、Westside Girl。なるほど、そう来たか。

この曲自体もともと好きだったのでうれしかったのだけど、途中からYarbrough & PeoplesDon't Stop The Musicのカバーに突入したのには意表を突かれた。それもMayer Hawthorneのライブみたいにサンプリング感覚でちょろっとフレーズを挟んでみましたというのではなく、まっすぐ全力の熱唱。一瞬頭の中が真っ白になった。

 

どうしたビラル!よくわからんがそれすごく面白いぞ!

 

特にI-iiiiiii just wanna love you, all night longのところの歌い上げっぷりは、この回のステージの間で一、二を争うほどの熱量。

それもファルセットでの熱唱。まさにこういう風に歌うのが聞きたかった!と興奮した。

おなじみのサビも含めてまっすぐにカバーしただけなんだけど、彼が歌うと何か魔法がかかるように感じられた。

 

そして、ここでもう時系列順に書くスタイルを無視して書いてしまうけど、この日ビラルが披露したカバーはこれだけ。

期待しがちなPrinceBeautiful Onesや、ひょっとしたらとかすかに思いを馳せていたRadioheadHigh & Dryもなし。

 

それでもこの選曲に妙に納得できてしまったのは、これまで何度も共演してきたCommonAll Night Longのフックでこの曲をErykah Baduに歌わせていたから。

そう考えるとなんだかとても渋い選曲のものを聞けた気がしてこないだろうか。

そうでもない?

 

-------------

と、意外なタイミングでの熱唱が聞けた後、やはり印象的な808の音でのイントロから始まったのがHollywood

お蔵入りしたセカンドアルバムからの曲をいまだにライブで歌っているということは、当時のレコード会社の判断は間違ってるとでも言いたいのかなー。単に楽曲としての思い入れもあるのだろうけど。

 

そして次のFor Youこの日の個人的なハイライトとなった。

元からfunkyなのにタメを作りまくったアレンジで超funkyに!(あえてバカっぽい表現で)

ステージを照らすライトが赤一色になり、全体的に演奏の音もデカくなった。

特にドラムもベースも低いところが強調されていて、音源よりもへヴィなアレンジだった。

重さを感じるのは歌に関しても同様で、タメを聞かせまくるドラマーの演奏に合わせるかのように、コーラス部分での(この曲でさらにビラルに寄せるような声色にした)マイカによる"for you, I"の合いの手フレーズも、タメにタメた上で歌われるもんだから抜群に気持ちよかった。もともと好きな曲だったけど楽曲に備わる要素をファンキネス方向に全パラメータを振り直したかのようなこのアレンジにより「大好き」にランクアップ。不思議と普通のアレンジである元の音源も気持ち良さが増して聞こえるようになった。

 

さらにファーストアルバム1st Born Secondからの曲が続き、軽いイメージのあったSometimesもファンク色が強いアレンジ。で、こちらも演奏もヴォーカルも熱かった。

 

そしてまたまた1stからReminisceだ。

これまたベースを強調させたアレンジでほんとに耳心地がよかった。

 

と、振り返ってみるとここはデビューアルバムから3曲固め打ちだったわけで、もうこの時点で僕らのような、Bilalのデビュー当時に騒いでいた世代には十分な計らいだった。

実は別の場所でのライブでは本編終了後にアンコールでSoul Sistaまでやっていたようなんだけど、この時点で書いてしまうと今回はなかった。

でも今こうして振り返ると中身も時間も十分なほどやってくれてるんですよねー。

そう考えるとあの終わり方で良かったのかな。と、ではそこまでまた順に追っていきましょう。

 

中速でのドラムソロから入った後、高速化してから始まったのがAirtight’s RevengeからのLevels

最近ではRobert Glasperによるカバーもあった曲だが、ここでは中盤から演奏も歌唱も激しいジャムセッション的な展開となった。そしてそのジャムの時間が長く、この場面ではさすがに観客席もやや置いてけぼりをくってる感じにはなっていた。

こういったところも彼らしいところであり、実はちょっと予想はしていた。

…まあ実際に始まってその場にいると、リアクションに困ると言えば困るんだけど。

 

そんな混沌ファンク・タイムが過ぎた後、一息ついてからのWho Are Youへ。一転してかなりカッチリとした言葉の紡ぎ方で実に正統派な歌い方を披露するBilal。こんな風に硬軟どちらにでも対応できるあたりが彼の需要の高さの理由だよなー。

途中でレゲエに転調して、さらにキーボードのDevonが歌うなどここではちょいちょい遊び心を見せていた。

 

またもA. Youngeサウンドが場を支配するSattelitesを経てBack To Loveへ。

ここではメロウな演奏をバックにマイカとのツインリード風な掛け合いを見せて実に楽しげ。

この曲では結構自由度が高い時間が設けてあり、途中でまず、キーボードのソロ。

続けて、どう見てもビルボードよりラウドパークの会場が似合いそうなルックスのギタリスト、Randall Runyonによる実に見た目通りというかまっとうなギターソロが入ったのだけど、これがまあ上手かった。白いギターがよく似合っている。

この二人のソロの間、ビラルは両手を掲げてなにやら気を送っているのかおまじないをかけているのか、ふしぎなおどりを披露。

この曲以外でも歌っている時に右手を広げて高く上げていたけどこの人の手はデカい。そのどこかシャーマン的なルックスとも相まって、彼のかけるおまじないなら、よく利きそうだ。

 

いつの間にかだったので、はっきりとしたタイミングが思い出せないけれど、遅くともこのギターソロが終わる頃には、残りのメンバーによる伴奏が思い切りジャズのモードに切り替わっていた。

そして始まったのがマイカによるスキャットのパフォーマンス。

もともとビラルをちょっとだけ低くした声の持ち主だったが、ここでは高音からさらに上げていった。

よくスキャットでは管楽器をイメージしたような声色のものを耳にすることが多いが、彼は明らかにエレキギターの音色を模したような声色にしていたのがユニークだった。これは誰にでもできる芸当ではないだろう。

このマイカのスキャットは、伴奏としてバックでリズムを刻み続けているギタリストのカッティングにうまくタイミングが重なると、どちらの音がギターなのか惑わされそうになるほどだった。

しばらくすると、ビラルもこれまでの歌唱とは打って変わった低い声で加わり、二人によるスキャット合戦が始まった。

こういった場面もライブならではのだ

数分これが続いたかなー。演奏も含めてこの数分間はジャズ・コンサートの空気となっていた。

この辺はバンドのメンバー全員のスキルの高さを示すのに十分な時間だった。

ここはおそらくバンドメンバー目線でのハイライトだっただろう。

 

正直なところここまででかなりお腹いっぱいの濃厚な内容だったのだけど、やはりあの曲を聴かなくては帰れない。

 

そう、All Matterだ。

 

ゲスト参加したRobert Glasper Trio/ExperimentDouble Bookedに初収録後に、自身のAirtight’s Revengeにも別アレンジで再収録しているのだから、この曲はきっと彼の中でも自信作なのだろうし、ファンにとってもビラルの代表曲を1曲挙げろと言われたら今は間違いなくこの曲になるだろう。

 

曲前のMCではオーディエンスに謝辞を述べた後、この日がキーボードのDevonが誕生日であることを告げた。

「みんなでハッピーバースデーと言ってあげて」と促すビラルに応えて場内から一斉にハッピーバースデーの声が上がった。

いい光景だ。

そのあと「日本語ではハッピーバースデーはどう言うの?」と一番近くのお客さんに尋ねたところ、そのお客さん、かなりはしょって「おめでとう」とだけ教える。…ざ、雑だな!

そのままDevonにオメデトーと言ってあげるビラルと我々。

なお、ビラルはそこまでたくさんは日本語は知らない様で、来てくれてありがとうと言おうかなというところで「コンニチワは違うの?」とまた別のお客さんに尋ねていた。これからたくさん日本に来て憶えていってください…

と、このやりとりの間も演奏をキープし続けていたバンドだったが、このそろそろ終わりますよ的な空気のMCが一区切りしたところからも、長めにイントロを演奏していた。(そしてこの様子からも今回はアンコールなさそうだなと感じ始めた)

 

こうしてたっぷりと焦らした上で始まったAll Matterだったが、序盤はさすがに切り替えがしきれなかったのか例の"You ain't even gotta tryyyyyyyyyyyyyy"のファルセットのところは控えめな声量だった。が、それ以降の同箇所から次第に調子が戻ってきたようで、終盤には強烈な声量で歌いきってみせた。

 

これはすごい。

 

これだけ瞬間的な出力量が求められ、コントロールも難しいであろう曲を、2度目のステージの最終盤であんな声量で歌いきるとは。やはりそこらの歌い手とは格が違うなと改めて思い知らされた瞬間だった。

曲の終盤では、リミックス的にバンドがややテンポを軽めに変化させたアレンジ(Double Booked版に近かったかも)を加えるなどしてから曲が終わった。退場し始める全メンバーには心の底から全力で拍手をすることが出来た。

言及が少なくなってしまったが、バンドの演奏もBilalの歌声同様に隙がなく、かつ柔軟であった。

ギタリストだけでなくドラマーもキーボーディストも素晴らしかった。

 

ショーの時間は1時間40分を超えていた。

時間だけではなく、中身も濃い、お腹いっぱいのステージだった。

バンドメンバーが全員去った後もアンコールを求める拍手がしばらくは続いていたが、じきに場内の照明は点灯され、終演を告げるおなじみのアナウンスが流れ始めた。

 

もしここからSoul Sista(後から知ったが床に張ってあったセットリストの紙にはアンコール用として記載があったらしい)とかFast Laneとかやられても本編とノリが違いすぎたからこの終わり方で良かったと思う。

終わってみればではあるのだけれど、そういう結論になる。

これが10年ぐらい前であればこういう感じ方にはならなかっただろう。

デビュー当時によく聞いていたこれらの曲も、キャリアを重ねてジャンルを問わずに招く側の期待に応えられる高い対応力の歌い手であることが認知された後となっては、あまりにもガチガチの形式というか当時の空気を吸い込んだフォーミュラ(Dreだけに?)に固められたものに聞こえてしまうのだ。懐メロ感が高い曲と言ってもいい。

おそらくアンコールで披露されてもどこか企画ものっぽく聞こえてしまったかもしれない。

同じデビュー作からのものでも、今回披露されたあの3曲は、今の彼がやっても不思議ではない楽曲であり、選曲に説得力があったということになる。

 

そういった意味でも、All Matterでの締めは「2017年に見るBilalのショー」としては納得が出来るものとなっていた。

 

--------------

…いや、もしアンコールでそこら辺の曲もやってくれたら、それはそれで喜んだだろうけどね?

ひょっとしたら今の彼ならではのアレンジも聞けたかもしれない。

ただ正直なところ、圧巻のパフォーマンスと言う他ないAll Matterが終わった時点で、自分の中でスイッチがオフになってたんですよ。振り返ってみると、ちょうどいいところで終わってくれたと思っています。

 

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*その後Sa-Raがまっとうな形でプロモ盤に収録したのだが、どういうわけかreduxとしてアレンジされてからThe Hollywood Recordingsに収録された。

 

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<SETLIST>

Star Now
Sirens II
Robots
Pleasure Toy
West Side Girl/
Don't Stop The Music (Yarbrough & Peoples cover)
Hollywood
For You
Sometimes

Reminisce
Who Are You
Sattelites

Back To Love
All Matter


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