Soul Camp 2015 (@豊洲PIT, 2015/09/23) - 4. Ms. Lauryn Hill

2016.09.16 Friday | by garahebi

期待と不安。

使い古された組み合わせではあるのだけど、僕が体感したことのある中で、ライブ前の気持ちを表すのに、これほどまでにこの言葉がしっくりくるアーティストがいただろうか。…いや、もう一人だけいた。

 

D'Angeloだ。

この人も以前からやはりショーの開始が遅れるとかいろいろつっこみどころのある人というイメージだったはずだが、Summer Sonic 2015ではきっかり定刻に登場して開演*1。

個人的にこれまで見たどのショウも敵わない、実に見事なパフォーマンスを見せてくれた。

そんな体験が直近であったこともあり、そりゃあ過去の日本での公演のあまりよろしくない評判ももちろん耳には入ってきていたが、ひょっとしたらMs. Lauryn Hillだって…とだんだんと期待値が上り始めてはいた。もちろん始まってみるまでは不安は最後まで拭えなかったのだけど。

 

ローリン・ヒルは彼女の年齢、喉のコンディションなどの今の状態から考えうる中で、間違いなくベストのものを届けてくれた。

 

それを可能にした要素のうちの一つとして、彼女の率いたバンドのパフォーマンスが素晴らしかったことにはぜひ言及しておくべきだろう。これまでライブで見たことのあるSoul/R&Bのソロアクトの中では群を抜く、12人という多人数のバンド編成。D'AngeloのオールスターバンドThe Vanguardよりもさらに大所帯だった。

 

Ms. Lauryn Hill(Vocals)
DJ Rampage(DJ)
Tanikka MyersTara HarrisonCandice Anderson(Background Vocals)
Raymond AngryMichel Ferre(Keyboards)
Jordan Peters(Guitar)、Jonathan Rosado(Bass)
George"Spanky" McCurdy(Drums)
Igmar Thomas(Trumpet)、Matthew Hartnett(Trombone)、Brent Birckhead(Saxophone)

 

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始まる前から会場の雰囲気は異様なものだった。

全員がソワソワしていたのではないだろうか。

 

実はこの日の自分の計画としては、ひとつ前のTalib Kweliのステージが終わったら、ちょっとステージから距離を置いたところまで離れるように移動するつもりだった。正直なところ、今のローリン・ヒルをかぶりついてまで見たいという欲求は僕の中にはなかったし、おそらくある程度の人が前に押しかけるだろうなとは予想していたからだ。ところがその欲求が強い人が予想していた以上に大勢いたらしく、タリブの出番が終わった時には僕はもう、その場からまったく身動きが出来なくなっていた。次のアーティスト待ちであらかじめ客席前方に陣取って動かない、いわゆる地蔵にすでに取り囲まれていたのだ。

今になって思うと、この時にトイレ行く必要のない体調で本当に良かったと思う。

ギュウギュウ状態で、本当に前後左右どこにも動けなかった…

(これ以降、よほどの美ジュアルを持つアーティストでもない限りは、ライブで前に詰めかけないスタンスをさらに強めるようになった…w)

 

 

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タイムテーブル上ではMs. Lauryn Hillのステージ開幕は18:40となっていたのだが、それよりも10分ほど早く照明が落とされた。まずはDJが一人で舞台上に登場して、場を温めるべく音を鳴らし始めた。Busta RhymesDangerousなどのやや懐かしいヒップホップ曲も一応はかかってはいたが、やはりというべきかBuffalo Soldier等のレゲエ定番曲が多めだった。ヒップホップのルーツの一つとしてレゲエがあることは知識としてはなんとなくあったものの、今回のSoul Campでは幕間にせよ各アーティストのステージ中にせよ、かなりたくさんレゲエ曲がプレイされていた。こういった体験もまた重要なことだなと今になって思う。

 

さて、そんなそのDJによるウォームアップの間にも、ステージ上にはバンドのメンバーが少しずつ登場し、それぞれの位置でスタンバイを始めていた。そしてバンドが全員揃ったところでDJタイムは終わり、数分間はバンドのみで演奏を行った。

さすが大人数での編成。音が分厚くて気持ちよかった。ステージ開演まで期待は徐々に高まっていった。

 

その演奏が続いている間にだっただろうか、最前列の方の観客が大騒ぎし始めた。

おそらく前の人たちの目でMs. Lauryn Hillご本人の姿を確認できたのだろうけど、自分の位置からはその時点ではあまりよく見えなかった。

 

しばらくしてようやく肉眼で見ることができた、伝説の生き物かと思っていたローリン・ヒルは想像していた以上にずっと小柄だった。昔のように髪を伸ばしていないこともあるのだろうけど、本当に小さく見えた。たとえるならそう、赤ちゃんが背筋を伸ばして歩いているかのような印象で…

ってそりゃこの衣装のせいだな…

後から知ったところによると、この日のステージ衣装は日本のアパレルメーカーが提供したものだったようで、彼女の趣味がこういう方向というわけではないようだ。でも選んだからにはそんなに嫌いでもないということか…

わ、わーい、マカロンと猫ちゃんがいっぱいニャ〜!(難しくいろいろ考えるのはやめた)

そんな小柄な彼女が、acoustic guitarを手渡され、舞台中央に置かれたやや低めの椅子に腰かけてからショーの本編が始まったものだから、序盤の手を伸ばしてスマホを掲げるお客さんだらけの環境ではしばらくの間は直接視認することすら難しかった。

 

と、ここまで読んでいただいたところで、僕が文句ばかり言ってるように思われてしまうのかもしれないが、実のところ、この2点。.螢▲ションに困る衣装、大してファンでもなさそうなくせに前方に位置どったミーハー客のかたまり、を除けば僕にとっては全くつっこむところがない満足度の非常に高いショーだった。

 

ローリンについて言えば、歌唱に関してはもうそれなりに年もとっているし、これまでの年月でずっと歌い続けてきたわけでもないので、高音なんて初めから期待してはいない。そもそも全盛期だって別に高音は売りにしてない声質だったわけで。そして今回、その部分は3人もいる若いコーラス隊に丸投げしていた。これは正解。彼女たちも本当にうまかった。

この手の若手シンガーを使っての完全分業型の対応はKaryn WhiteChaka Kahnあたりが近年のステージでやっているのを見たことがあるので、個人的には次善の策として受け入れられる範囲内。気に入った声の若手がいたら今のうちに目をつけておいて、これから応援しちゃおうというぐらいの心持でいるのもいいでしょう。

 

歌における加齢の影響は肺活量にも出てくるのではないかと思うのだけど、ローリンはそこは昔の曲のテンポを上げて補っているのだと思う。つまり一音ずつを短くして対応していたわけだ。そんなわけで、その編曲に不満を覚えてしまう人は、もう彼女のショーは見に行かない方がいいだろう。これからもテンポが元のように遅くなることはないと思う。

ただ、この人の場合、Killing Me Softly (With His Song)はもちろん、Stevie WonderBlame It On The SunにしてもFrankie ValliCan't Take My Eyes Off Of Youにしても、カバーの際に独特のアレンジで違った輝きを与えるセンスのある人なので、自分の過去曲をいじるにしても単にテンポを早くしているわけでもなかったりするわけですよ。それがまた楽しめるなら観に、聴きに行くだけの価値はある。

 

逆にただただ素直にすごいぞこれは、と思わされたのがラップの力強さ。

衰えなんてかけらほども感じることがなかった。

もちろん若干声は低くなっていたが、特に発声のキレはすさまじかった。

この良さを生かした新曲は出ないものだろうかとステージの間に何度思ったことか。

 

そしてもう一つ、これは実際にあの場にいないと分かりにくいことではあるのだけど、彼女の徹底したバンドマスターっぷりが印象的だった。曲の頭出しの合図なんてのは序の口で、コーラスの歌い方やバンドメンバー各楽器の音量など、曲の途中だろうがなんだろうが、とにかく指示を出しまくっていた。おそらくその指示の内容もかなり細かいニュアンスを含んだものだろう。

もちろんそれに即座に対応しながら演奏し続けてしまうバンドのメンバーも驚異的なのだけど。

こういったところを見てもやはり同じ年に見たD'Angeloの姿にかなり重なるところはある。声色こそJames Brownを思わせる発声をしていたことはあったが、あそこまでの上下関係は感じられず。どちらかというと入念なリハーサルをやったとおりの場面で合図を出している様子で、弾き方も音量もそれぞれのミュージシャンに任せるという横の関係、仲間に対する信頼感といったものが感じられた。

それに対してローリンとそのバンドの関係はかなり縦の関係が出来上がっているように見えた。ローリンの表情はほとんど和らぐことはなく、その腕の動きも軍隊の指揮官を思わせた。

ただあのいじる頻度の高さは、Dほどはショーの前から調整していないことを示唆していたような。その場のノリで変更が加えていられる様に感じられた。天才肌らしいというべきなのか。

 

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以下、本編の流れを順に振り返ってみることにする。

 

冒頭は2005年からライブでのみ披露されているConformed To Love。

その後しばらくはMTV Unplugged 2.0を基調としたパートになっていたが、Mystery Of Inquityのラップパートからは徐々にソロアルバムやThe Fugees時代の曲へと移行。この辺りからはローリンもギターを弾くのはやめ、椅子から立ち上がり、ステージ中央のスタンドマイクを主戦場とし始めた。

よく考えたらKanye WestAll Falls DownでサンプリングしようとしたのをLaurynが拒絶して(最終的にはSyleena Johnsonが歌い直した)以降、ローリン本人がこれを生で歌うところが見られたというのは実に嬉しかった。正直なところ、Unpluggedはめったに聞こうとする気にはならない作品だが、この曲だけはやたらと聞いていた。

その1

その2

 

この曲以外ではFinal Hourの力強さがまた特筆もので、もともと硬派な響きの曲ではあったものの、ライブでのパフォーマンスの熱さに惚れ直してしまった。

 

直後のEx-Factorでは、まずローリンの腕の振りでの合図からホーン隊が勇ましいフレーズを吹き始め、コーラス隊とともにローリンがぐいんぐいんと踊りまくるという意外な始まり方だった。正直なところ、歌い出しの"It could all be so simple〜"が聞こえてくるまで、何の曲のイントロやらさっぱりわからなかった。そして歌のスピードも若干早くなっていた。

このメロウネスを犠牲にファンキネスをとったようなアレンジに関してはきっとファンの間でも賛否あることだろう。

それでも当時日本でもCMで流れていたブリッジの"Care for me care for me, I know you care for me〜"のところはテンポ以外はさほど変えておらず、ここでやっと歓声が上がったあたりはオーディエンスのリアクションとして実に素直なものだった。

 

続いて聞きなれたドラム・パターンが鳴らされ、冒頭の"It's funny how money change the situation!"で大歓声。

もともと早い曲をさらに早めたLost Ones

もうこの曲の頃にはこの高速化のパターンにも慣れてきて戸惑わなくなっている自分がいた。

いや、テンポの早さよりも、それをこなすバンドの演奏力と、コーラス隊のレスポンスの見事さが戸惑いをはるかに上回っていたというのが真相か。テンポ以外にも、"you might win some but you just lost one"の繰り返しの回数が多くなっていたりといろいろとアレンジがなされていた。この手のリリックにおける直接的なアレンジは続くHow Many Mics(ホントに渋い選曲だ)でも行われており、フックの"say me say many money, say me say many many many"の後にもう一個moneyが追加されていた。

 

個人的にこのショーの中で一番しびれた瞬間が次の曲の始まり方だ。

まずローリンが合図をして、ステージ上のメンバー全員がしゃがむ。

→しばらく動かず、観客の頭の中で?が増え始めたあたりでローリンのdrop it!の合図

→DJがFu-Gee-Laのイントロの例の1音目の低音を鳴らす。

 

いやー…あの超低音が足の下から突き上げるようにして聞こえてきた瞬間に全身に鳥肌が立ってしまった。

 

低音がブーンと鳴り続ける間にローリンが立ち上がりながら"listen Tokyo...”とこちらに呼びかけ始めるのがまたとんでもなくかっこよかった。

 

おそらくこの低音イントロのところがこの日の全アクトのステージの中でも一番の大歓声が起きた瞬間だったと思う。

そしてありがたいことにこの曲のテンポはオリジナルのままだった。

(まあループされてる部分は生演奏での再現は難しいもんね)

 

なお、Wyclefのヴァースはローリンだけでなく、DJ氏も声を重ねて補強していた。

曲の頭の例の低音を鳴らし始めるために針を落としたのも当然同じ人なので、もしもこの人だけに注目して見ていたら、結構あわただしい事態になっていたことだろう。

そして、この曲の辺りからはもう、サンプリングされた音自体が肝となっている曲が多く、改変は少なかった。

そんなわけで、イントロだけでかなり盛り上がるというような時間帯となった。

 

もちろんReady Or Notでも例の一音目から大歓声だった。この曲でも基本的にはテンポも歌い方もほぼオリジナルのまま。そんなわけで"I play my enemies like a game of chess"の名フレーズがしっかりと聞けたのはうれしかったし、開演前にDJ Rampageが流していたBuffalo Soldierとも"The Buffalo Soldier, dreadlock Rasta”のフレーズできっちりつながる。

あのブリッジのYou can't run away〜♪では、予想以上に高いところでローリンも声が出ていて、驚くと同時に素直に感動した。

今思えば、この曲までがローリンの喉のウォームアップの役割を果たしたことになる。

かなり長時間のウォームアップだが、この後に続くのは歌が中心の曲ばかりだったので納得はできる。

 

そして始まったKilling Me Softlyではアカペラで始まるイントロから女性客のキャーキャーがすごかった。

こういう曲だと女性コーラスの3人の仕事が映える映える。

 

Fugeesコーナーが終わると、義父Bob Marley(& The Wailers)のカバー曲コーナーが始まった。

この部分もどうやらツアーでは恒例になっているらしい。

いずれにせよローリンとコーラス隊の歌のパフォーマンスがたくさん聞けるのはうれしいところ。

Jammin'ではStevie WonderMaster Blaster (Jammin')も交え、Is This LoveCould You Be Lovedへと流れていく。

(そう、ここでこの日の2番目のアクトだったThe Beatnutsが歌っていた替え歌の元ネタに気がついたんです)

 

ただ、振り返ると体感時間と曲数が合っていない。

1曲が長かったのか、知らない曲をやっていたのに分かっていなかったか…たぶん前者だとは思うのだけど。

レゲエ曲はそこまで好きというわけではないので、集中が若干途切れたのかも知れない。

それに、もうこの時点でMs. Lauryn Hillのステージは2時間は軽く超えていたと思う。

遠方から観に来た方も多かったことだろう、帰りの電車を気にして帰り始めた人も結構いた。

 

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ただ、残っていた我々にはご褒美が残されていた。

現在進行形の彼女の姿をライブで確認できたのがここからだった。

 

2015年のこの時点での最新のレコーディング音源はNina SimoneのトリビュートアルバムNina Revisited… A Tribute to Nina Simone だった。このコンピレーションアルバムへの提供曲数の多さを考えると、ローリンは相当に自信を持って世に送り出したことは想像に難くないし、実際にそこで聞ける彼女の年をとって程よく低くなった歌声は、Ninaの曲に非常にマッチしていた。(Robert Glasperのプロデューサーとしての手腕もあるのだろうけど)

 

そして、今回のSoul Campにおいて、僕が一番聞きたいと思っていたのはこのアルバムに収録された曲だった。

僕は懐メロも嫌いじゃないけど、どちらかといえばそのアーティストのその時点での最新曲をライブで聴くことに一番の喜びを感じる。ただ、例のNina…はホントに出たばかりだったので、まあ1曲でも聞けたら御の字かなというのが当初の望みだった。

 

果たしてその望みは叶えられた。

 

Feeling Goodはライブで聞いてもその低いところから始まる歌の力強さが見事だった。

アカペラからスタートしたあたりも、この曲を今の彼女が自信を持って歌えていることの証しだろう。

そしてこの曲が聞けたというだけでも嬉しかったところに、もう1曲披露されたのには心底驚いた。

 

続けて披露されたのはBlack Is The Colour of My True Love's Hairだった。まさかのNina Simone曲2連発!

この曲の間は場内の照明はローリンへのスポットライトの1本だけに絞られていた。

非常にシンプルな演出ではあるのだけど、こうかはばつぐんだ!

安易に使いたくはない言葉だが、「神々しい」と表するのがぴったりの光景であり、歌声であった。

その時の自分は教会の中にでもいるような気分になり、まさにその瞬間、神聖な何かに触れているような気分にさせられた。*2

この曲は歌唱、演出、共にこの日のローリンのパフォーマンスの中でも最高だったと思う。

 

最後は皆さんお待ちかね、のDoo Wop(That Thing)でシメ。

例のイントロのピアノのフレーズが鳴り始めた瞬間、場内はドッと沸き大団円ムードが広がる。

どれほどたくさんの笑顔が広がっていたことだろうか。

と同時に、「あーもう終わってしまうのか」と悟ってしまう賢者タイムでもあったのだけど。

なお、こちらもオリジナルのままのアレンジで、歌フックの高音部の歌唱はコーラス隊が大活躍だった。

 

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それにしても、まさかフェス形式のステージにおいて、これだけの長時間やってくれるとは想像していなかった。

ただ長くやっただけでなく、内容もはるかに予想を上回ってくれたのだから大満足だ。

ちなみに後から行われたチケット代(カジュアル席の値段が、ちっともカジュアル感のない¥40,000という設定だった)が話題になったビルボード東京での単独公演では、聞くところによるとBlack Is〜はなかったらしい。曲数が多ければいいというものではないのだけど、つくづくSoul Campに行っておいてよかったと思ってしまったのは事実。

 

2015年に見たいろんなライブパフォーマンスでも3本には入ることだろう。

サマソニでのDのステージが1位なのは揺るがないが、同じDでもZeppでの彼は緩すぎたので、ローリンのこのライブがそれより下になることはない。うん、2位確定でいいだろう。

 

最後に言及しておくと、そこまでパフォーマンス中にたくさん笑顔を見せたようには見えなかったローリンが、去り際に振り返った時にようやくとびっきりの屈託のない笑顔を見せていた。

おそらくそう遠くはない未来にまた来てくれるだろう。

 

その時はチケット代は控えめにお願いします…

 

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*1:数日後のZepp Tokyoではがっつり40分近くの遅刻。翌年の横浜でも同じぐらい遅刻。今思えばどうやらこの時のサマソニは奇跡の回だったようだ…^^;

 

*2:Mos Defのキャンセルには改めてため息をついてしまった。

Black Starとしてのステージが実現していれば、間違いなくその名義の曲はもっとやっていたはず。

そう、Astronomy (8th Light)でのTalib Kweliのリリックの中にはBlack is the colour of my true love's hairなんてフレーズが入っているのだから、もしもこの曲がパフォームされていれば見事な循環の輪が出来上がったことだろう。

(ご存知の方も多いと思うが、そのステージングや遅刻癖に批判も多いローリンを擁護する人たちの代表格がタリブであり、彼はその思いをつづったMs. Hillという曲までリリースしている。Right About Nowに収録)

 

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Setlist

1. Conformed To Love

2. (I Gotta Find) Peace Of Mind

3. Freedom Time a.k.a. War In The Mind

4. Mystery of Inquity

5. Final Hour

6. Ex-Factor

7. Lost Ones

8. How Many Mics

9. Fu-Gee-La

10. Ready Or Not

11. Killing Me Softly

12. Jammin' / Master Blaster

13. Is This Love

14. Could You Be Loved

15. Feeling Good

16. Black Is The Colour of My True Love's Hair

17. Doo Wop (That Thing)

 

 


Soul Camp 2015 (@豊洲PIT, 2015/09/23) - 3. Talib Kweli

2016.09.14 Wednesday | by garahebi

Mos Def(めんどくさいので今の名前は無視)の出演キャンセルさえなければ、この日のラインナップで一番のお目当てはBlack Starであった。自分の中での期待値はLauryn Hillよりもはるかに上だった。

現時点で唯一のアルバムはヒップホップデュオかくあるべしといった感のある傑作だった。各シングルでのPVやライブ動画もいろいろ見ていたので、あの掛け合いが生で見られるなんて!そう思って彼らの名前のアナウンスに釣られてこの日のチケットを買ったようなものだ。

 

しかし、やはりというかなんというか、片割れは来なかった。

 

来日キャンセルの話が表に出たのは1日目の直前だったかな?

それにより、1日目にソロでステージをこなしたTalib Kweliが急きょ2日目もソロ名義でこの時間に登場することになった。

複数日に渡るフェスの場合、僕のようにお金にも時間に余裕もない人はともかくとして連日行く人だって少なくはない。

そうなると初日にタリブ・クワリを見た人が同じセットリストのものを見せられて面白いだろうか。

…いや、まあ中には面白い人もいるだろうけど、少なくとも彼はそう考えなかったらしい。

初日は行ってないのだけど、どこぞの情報によるとセットリストはヒット曲中心の分かりやすいものだったようだ。

タリブが配慮しまくった結果なのだろうか、私が見た2日目はなかなか渋い選曲となっていた。

 

(なお、1日目のMosの穴はDJ Jazzy Jeffがもともと予定されていた野外でのDJブースでのパフォーマンスをこなした上で、屋内のステージにもDayne Jordanと一緒に登場して埋める、という大車輪の活躍だったらしい…)

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Soul Campでは、基本的にはステージ上はDJとライブアクトだけという構成なので、DJが音を出し、タリブがそれに合わせてラップするスタイルがとられた。このスタイルだと、DJさえ対応できればその場その場のひらめきで次の曲を変えるということも出来る。

オープニングはこの時点での最新アルバムPrisoner Of Consciousより、Busta Rhymesとの競演でRZAによるトラックの推進力がすさまじいRocket Shipsから。そこからはソロ名義での曲に過去のグループ名義での曲も交えて進められていく。

What's Realなんかはフックのところをオーディエンスに合唱させようとしていたけど、そんなにみんなでせーのというのに向いていないパートではあるので、お客さんのレスポンスはやはりというべきか、非常にガチャガチャしていた。グダグダといってもいい^^;

 

あと印象に残っていた出来事としては、Come Hereの序盤だったか、タリブが急にDJに曲を止めさせ、PAに対してマイクを通して「おい、サウンドマン、俺さっきこっちのマイクのボリューム上げろって言ったよな?」と軽くキレるという瞬間があった。

実は、この日のイベントではアーティストがマイクのボリュームを上げるようにショーの途中にステージ脇のスタッフに注文している姿が複数回見られた。おそらく先にステージに上がってサウンドチェックをするのがDJで、そちらの音量を中心に調整することによってこういったことが起きていたのかもしれない。

この辺りはすぐに対応できるようにしておかないとイベントに来てくれなくなっちゃうかも?そこんところは僕らはどうしようもないところなので、運営側の方々、次があるなら本当にしっかりしてください…

 

Turnt Upなんかもうれしかったけど面白かったのはHot Thing。もちろん表題通りPrinceの曲をモチーフにしているのだけど、途中からなんとJeff Lorber FusionRain Danceにオケが差し替わり、その上で変わらずHot Thingのパフォーマンスが続けられた。

この手の遊びは他にもあり、Reflection Eternal時代の曲をいくつかやる中で、Move Somethin'ではたしか序盤からだったと思うのだけど、トラックはBlack RobWhoa!のオケをそのまま使ったものだったはず。
最初は「え?このトラック使った曲、タリブ絡みであったっけ?」と混乱したものの、リリックで自分が覚えていたところが聞こえてきたところでようやく何の曲かわかり、フェスという一見さんも多いであろう場とは思えないコアなファン向けの仕掛けに改めてまた驚かされた。

RE時代の曲では他にDown For The Countはショーの早い段階でやっていたはず。

あとはもちろんThe Blastも。オリジナルの方。

そして、この日誰かさんのせいで実現しなかったBlack Star名義の曲もやはり披露された。

おそらくソロ名義でのライブにおいてもさすがにこのあたりは欠かせないレパートリーなのだろう。

一人でやるのにも余裕の様子だった。Definition→RE: DEFinitionというアルバム同様の流れをやりきり、さらにはK.O.S.も!この曲はVinia MojicaによるThings I say and do, may not come quite through〜♪の歌フックの部分も大好きなので口ずさむ気満々だったが、この日のパフォーマンスではそのフックを丸ごとスキップする構成…うわーん。まあ、その分がんばってフック前の合いの手knowledge of self!んとこでは声を出しておいたけど一番好きなところが省略されるとは!

選曲そのもので意外だったのはこの時点での最新リリース作品であったmixtape、"The Beautiful Mixtape Vol.1”からあの大胆なThe BeatlesEleanor Rigby使いのLonely Peopleだろうまさかソウルキャンプという場においてポール・マッカートニー卿の歌声が朗々と響き渡ることになることは想像してもいなかったので、これには正直驚いた。そりゃ英語圏なら合唱は起こしやすいだろうけど、やはりというべきか、客層的にそこまでの積極的なリアクションは起こっていなかったような気はする。

 

あ、そうそう。歌うといえば、ショーの終盤に向けて、客演曲という意味ではこの日唯一となる、Kanye WestGet 'Em Highもやってくれたんですが、その前に、Kanyeプロデュース曲が続く前だからということか、YeJinTwistaの曲をで使いまわしていたLenny Williams'Cause I Love YouもDJさんが流してましたね。そしてそこに乗っかって意外なほど歌うタリブ。うまくはないけど歌うこと自体は好きっぽい。

最後はやはりというべきかGet Byで締めたわけだけど、この時間にもなると、私のいた前の方のあたりにはこの後に登場する、トリのローリン待ちの人が増え始めており、そのせいかタリブ最大のヒット曲でありながらも意外なほど合唱率が低かった。特にThis morning, I woke up〜以降のブリッジパートはやたらと弱かった。

そんなわけで、このあたりの消化不良気味な部分はやはり(次がいつになるかは分からないけど)単独公演に期待するほかないなと思った次第です。もうちょっとI Tryとか分かりやすい曲も聞きたいわけですよ。

 

マニアといえるほど聞き込んでいなかったので今回下に挙げた曲以外にまだあと2,3曲ぐらいやってた気がします。

 

 

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<やったのを覚えている曲リスト(順不同)>

Rocket Ships

Turnt Up

Down For The Count

What's Real

Come Here

Hot Thing

Definition - RE: DEFinition

K.O.S. (Determination)

The Blast

Move Somethin'

Lonely People

Get 'Em High

Get By


Soul Camp 2015 (@豊洲PIT, 2015/09/23) - 2. The Beatnuts

2016.09.12 Monday | by garahebi

Lord Finesseの後、この日の2番手として登場したのがThe Beatnutsだった。

CommonLaurynなど2日間でビッグネームも多く登場したこのイベントの中でも、個人的に一番楽しみにしていたのが彼らだった。まずはプロデューサー・チームとして名を上げ、そんな中で単体のアクトとして登場しても強烈なインパクトを残せることを証明した90年代半ばから、ずっと好きだった割にはなかなか機会に恵まれず、今回が初のThe Beatnutsのライブ体験となった。

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今回のステージでは、もともと帯同するはずだったDJが何が原因かはわからないけど出演できなくなったらしく、急きょ日本のDJ SARASAさんが要請を受けて同じステージに立つことになった。もちろん彼らのライブでDJをこなすということに慣れているわけでもないので、曲と曲のつなぎの間や出だしなどには少しだけぎこちなさはあったけど、それでも彼女は見事に難しい状況を乗り切ってみせた。これは本当にすごいことだと思う。

さらに、途中でステージ上の二人のオヤジどもがsexyなcut(スクラッチ)を聞かせてくれよとむちゃぶり気味なことを言ってきていたけど、それに対して短く「キュウ☆…」という音で応えて、大受けしていた。

そのオヤジ2人組、JujuPsycho Lesに関しては、さすがのステージングというべきか、パーティー・モード全開で煽りまくり、吠えまくる。二人のコンビネーションは抜群。こういうチーム芸というか、掛け合いの妙を楽しめるのが複数MCグループのショーの醍醐味というもの。
時にパーティー定番の曲なら他のアーティストの曲だって流していた。Fatman ScoopBe Faithfulでまず場の空気を切り替え、R. JamesMary Janeでは音程はさておき楽しそうにハッパ賛歌を歌い、自分たちの中ではやはりライブでの定番なのだろうか、どこかで聞いたようなオケの上で"It's The Beatnuuuuuuts!! It's The Beatnuuuuuuuuuuuts♪"と歌い上げていた。この時はどうしても元ネタが思い出せなかったのだけど、全ステージ終了して会場から出るまでの、とあるきっかけ(今後の別ポストで書きます)でBob MarleyCould You Be Lovedであることが分かった。

まあ、分かった後はなんでアレがその場ですぐに分からなかったんだと思うのだけど、記憶ってそういうもんですよね…

さて、本編の話をすると、先述の通り、自分は初めて彼らのライブを見たので、開始前までは、初期の曲が少しでも多く聴けたらありがたいな、嬉しいなと思っていた。そんなわけで、いざ始まると、予想していた以上にファーストアルバムからの曲が多かったのがたまらなかったし、さらにさかのぼってデビューEPからReign Of The Tecまでやってくれたのには驚いた。まあ一番のサプライズはフックの欲望全開っぷりが何も言い訳できないPsycho Dwarfをやってくれたこと。日常生活の中ではあんなに大声でI wanna fxxk! drink beer! smoke some sh¥t!と叫ぶことはないのでそりゃもう楽しかったw

そんな楽しいムードの中にあっても、Off The Booksの曲終わりではこの曲で客演をしていたBig Pun、そして訃報が伝わったばかりだったSean Priceの名を挙げて追悼していた。

全体的なセットとしては新旧代表曲をあらかた網羅した、ベスト・オブ・ザ・ビートナッツとでもいうべき内容であり、観客側の盛り上がりとステージ上の煽り具合のレベルが高いところで一致したという意味では、この日の全アクトの中でも最高の一体感を生んだステージとなった。

特に、US国内の地名はもとより曲の終盤ではJapanを含めた世界中の地名を織り込んでのコール&レスポンスがフックとなっているProps Over Hereにおいては、全フックで地名の部分をJapanやTokyoに入れ替えてやりきっていたのが素晴らしかった。これはもちろんライブを行う場所ごとで毎度やっていることだろうけど、やはり今その場にいられることの幸福感をもっとも感じられる瞬間であることは間違いない。こればかりは伝聞や動画視聴などでは味わえないものだ。

そんな楽しさ満載のショーの最後はやはりというべきかWatch Out Now

どの曲でもそうだけどこの曲のイントロでの会場の盛り上がりは格別だった。

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<覚えてる曲リスト(順不同)>

Are You Ready

Props Over Here

Psycho Dwarf

Off The Books

Reign Of The Tec

Se Acabo

Hot

Turn It Out

No Escapin This

Prendelo

Watch Out Now


Soul Camp 2015 (@豊洲PIT, 2015/09/23) - 1. Lord Finesse

2016.09.02 Friday | by garahebi

Soul Camp 2016の前に前回を振り返っておこう、ということで記憶と記事の蔵出しを。

当時の下書きをそのまま流用しているので例によって1年前の気分で書いています。

 

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Soul Camp2日目、鑑賞記シリーズ1本目。

(あ、初日は行ってません)

場所は豊洲Pit。できたばかりのハコだったのかな。

初めて行きましたが、場内に緩い傾斜があって、スタンディングだけといっても観づらいということはなかった。

とりあえず手すりを確保しておくと楽ですね。

観たかったアクトばかりだったので、結局は外のDJの方は1組も見ることはできませんでした。

 

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さてこの日の最初に登場したアクトはLord Finesse

全アルバムを持っているわけでもないのだけど、好きな曲も結構あるのでやっぱり見ておきたかった。

Big LのスタンプTシャツ着用↑)

 

フィネっさん登場してすぐにボヤキ始める。

「おれさぁ、昼の1時からライブするの初めてなんだよね。こんなお日様が昇ってる時間のライブなんてどうしたらいいやらわかんないよ」まあ確かにヒップホップのライブとかイベントって夜、それもどちらかというと深夜のイメージですよね。納得してしまいつつ、いきなりのボヤキっぷりに場内ではそこかしこで笑いが漏れる。

まあ、この人は見た目が小熊っぽいから悪そうなこと言ってもなんか憎めない。ズルい。

 

とはいえ、いざスタートすれば安定の発声で代表曲を次々に披露していくあたり、さすがはベテラン。

この人は基本的には録音物のままのイメージの声。

サンプルとして動画置いておきます。
Baby, You're Nasty

 

特筆すべきこととしては、日本ならではのパフォーマンスとしてか、MUROとのコラボレーションThe Vinyl Atheletesをやってくれたことには言及しておきましょう。当初オリジナルとして発表する予定だったがサンプリングのクリアランスが下りずにリリースできなかったという、いわくつきのUnreleased Original Versionがライブでは初披露(と曲前で言っていた)されました。これは貴重な体験だったのかもしれないですね。

 

そして中盤に行われた、ターンテーブルでのプレイでは、DJと代わる代わるターンテーブル上で古典It Takes Two等を料理。

ご存じのとおりDJ/プロデューサーとしても著名な人なので、そっちの面も改めて確認できたのがよかった。

こういう時間を設けることが出来るとライブでもメリハリが出来ていいですね。

全体としては堅実なパフォーマンスと言えるでしょう。

なんというか、昔からのヒップホップのライブってこんな感じなんだろうなというイメージそのまま。

 

選曲ではStrictly For The Ladiesがなかったのだけが意外だったけれども、この日のトップバッターとしては言うことなし。

日常からヒップホップ・モードに頭がしっかりと切り替わった。

 

そういえば、去り際にファンにサインをしたりとなかなか気さくな対応をしていたのが印象的だった。

 

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以下はやったことを覚えている曲リスト。

僕もそこまでフィネっさんのディスコグラフィーに明るいわけではないし、記憶も緩いので、書いてある順番もやった順番と一致するわけではありません。たぶん、もう2,3曲あったかもしれないですね。あしからず。

 

Bad Mutha

Here I Come

Hip 2 Da Game

Actual Facts

Baby, You('re) Nasty

Funky Technician

Put It On (original by Big L)

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