Jose James @ Billboard Live Tokyo (Feb. 21, 2018)

2018.02.22 Thursday | by garahebi

The Dreamerを本来リリースしたかった形でという意図で、曲の並びを変更した上で、以前Soundcloudで公開したりBrownswoodのBandcampでデジタル販売していたコルトレーン夫妻に捧げる楽曲を複数追加し、全曲のミックスをやり直したという10周年記念盤。その発売を記念してのショーはNYと日本でのみ行われるというまさにスペシャルな企画。(そのほかの国や地域ではビル・ウィザースへのトリビュート企画のショーでツアーしている。)
バンドはここ数年ではおなじみのメンバーを基調としつつも、ベーシストとしては過去最高のビッグネームといえるBen Williamsが迎えられた。
そして昨年はRichardだったドラマーはNate Smith。(ひょっとしたら公演先のリピーターに配慮して一年ごとに交代させているのかもしれない。)

開演前の期待としては、一つ前のポストにも書いたがRahsaan Roland Kirkの楽曲をスローダウンさせた上にクールな多重録音コーラスで別物にアレンジしきったSpirits Up Aboveが演奏されるかどうか、そしてどちらかといえば適性がRichard Spavenの方にありそうな展開を見せるNolaやRedといったドラムンベース的なパートがある曲をNateがどう料理するのかだった。
今挙げた3曲は、少なくとも僕がJosé Jamesのショーを見始めた年以降の公演では一度もライブで見たことがないので、やってくれるだけでも大喜びだ。


以下、恒例の時系列メモ風に。
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まずは最近のビルボードライブ東京の公演で多くなっている気がする2階席の方から階段を降りてくるスタイルで全員が一列で入場。

位置でいえばステージ左からキーボード・ピアノのTakeshi Ohbayashiさん、中央やや奥にベースのBen Williams、その右隣がドラムスのNate Smith。ステージ中央にスタンドマイクがあり、Jose Jamesがそこを中心に陣取り、やや右手に低めのトランペット用のスタンドマイクがありTakuya Kurodaさんが出番の時にやってくる。

そう、The Dreamerというアルバムは収録曲でのトランペットの出番はあまり多くない。そんなこともあってかステージの右端手前の方にスタンバイ用のテーブルとイスが2脚あるのが特徴で、各人のソロの時などにJoseや黒田さんがスポットライトを譲るために座ることになっていた。これは数年前のショーでも観られた配置だった。

全員が配置につくやまずMCから入るホゼ。

「今日はThe Dreamerの発売10周年を祝う特別なステージであると同時に、Takuya Kurodaの誕生日でもあるからさらに特別なんだ、バースデーボーイの彼に拍手を!」と観客に拍手を促し、ちょっと茶化すように妙に高い声でハッピバースデー♪と少しだけ歌うホゼに照れ笑いを浮かべる黒田さん。本当に仲のいい二人だ。

個人的に初めてホゼのライブを見た時にこの二人がフロントに立っていたので、揃っているところを見られると本当に嬉しい。
そういえばこのステージではまずバンドメンバーの紹介から始まったのも印象的だった。曲前からやった例はこれまで記憶にない。
ちなみにTakuyaさんのことはホゼがプロデュースしたアルバムのタイトルからrising sonと呼んだ。ここまではありそうだとは思っていたのだけど、さらにはfuture legendとも呼んでいた。最大限の敬意。これも初めてのことかもしれない。思えば僕がホゼのライブを毎年観るようになって以降、バンドメンバーの交代は数あれど、トランペットだけはいつも黒田さんだ。それは信頼の証ではあるのだけどここまでの賛辞はなかった様な気がする。近年の黒田さんの活躍ぶりや演奏を見続けてきた中で、何か確信めいたものを感じ始めたのかもしれない。
なお、Nate Smithについてはグラミー賞に2度ノミネート!と、Ben Williamsについてはthe legendaryをつけ、大林さんについてはthe one and onlyと紹介していたと思う。

1. Velvet
ホゼによる「1, 2, 3, 2, 2, 3…♪」というカウントから始まるところまで音源と一緒なのが嬉しいVelvetからショーがスタート。
アルバム版ではこの曲にはトランペットの出番はないのだけど、今回のステージではイントロからまずトランペットでのソロ演奏から始まった。このあたりはホゼによる黒田さんへのお誕生日祝い的な演出なのか。なお、途中にもトランペットのソロが入った。イントロで黒田さんが吹くところまではリハーサルしていたのかもしれないが、こちらはホゼが合図をしてそれを受けてから黒田さんが準備していた。以前からもそうだが、バンドメンバーのソロのタイミングはホゼが促すことが多い。
今回のステージではNateがドラマーなので、音源に漂うけだるさよりはビートの立った、勢いを感じるアレンジだった。なお、この日のホゼはこの曲からもう歌をターンテーブリスト風にいじる例のパフォーマンスを混ぜており、re-remember love等とループさせるアレンジを加えていた。

2. Blackeyedsusan
曲前に「この曲は会場の女性たちに」と前置きして始まったのはBlackeyedsusanだ。音源版とは逆に、Nateのドラムスから入り、「ベースはBen Williams!」と拍手を促すとその拍手の中、Benがベースを奏で始めるという始まり方だった。
ホゼの優しいヴォーカルが中心となる楽曲で、The Dreamer収録曲でもかなり好きな曲だったので、(この曲も初めて)生で聴けたことが嬉しかった。
音源と違うところとしては大林さんがここではピアノではなくオルガンで演奏していたところかな。曲の中盤を超えたあたりからは、その大林さんのソロからベンとネイトのリズムセクションによる演奏へと入り、だんだんとネイトの演奏に熱がこもっていく。元々の曲のテンポが近いこともあってか、その演奏パターンはJames BrownのFunky Drummerのブレイクに近いものがあったが、重みを感じるシンバルの音はSchoolly DのP.S.K. What Does It Mean?を彷彿とさせるもの感触もあった。
そんな爆撃の様なネイトに触発されてか、そこにホゼもメロをやや崩しながらBlackeyedsusanの歌を重ねる。
…と、ここでネイトが次第にテンポを落とし始める。そしてホゼも違う曲の歌詞を歌い始める。なんとここでアルバムのタイトル曲、3. The Dreamerにスムーズに移行したのだ。かなり長い曲なのでどう配置するのか気になっていたけど、まさか別曲の終盤に入れてくるとは!ただ、長くなりすぎないようにかソロは控えめだった気がする。

-MC-
意外なメドレー形式で演奏が終わった後、ホゼのやや長めのMCが始まったのだけど、ここが今回のステージを特徴づけたシーンで、後から思えばこれは完全なアドリブだったのではないかと思われる。
「古い曲からインスピレーションを受けることはよくあって、このアルバムでもRahsaan Roland KirkのSpirits Up AboveやFreestyle FellowshipのPark Bench Peopleをカバーしている。あとは、そうだなThe TemptationsのI Can’t Get Next To Youという曲も大好きなんだよ。ほら、”I♪...Oh I♪”って歌ってる曲だよ。
(ここからホゼはしばらくテンプテーションズ版に忠実に、各メンバーのパートごとに声色を変えながら口ずさむ。そこにネイトがハイハットを鳴らしてホゼの歌に合わせる。このあたりの補完の早さは見事だった。)
「その後だよね、Al Greenがカバーしたのは。テンポはこんな感じに落とされていて…」と今度はやや遅めのテンポで指を鳴らしつつ歌い始める。そこにBen Williamsがベースで続き、Nateも合わせていく。この配慮に興が乗ったらしいホゼ。
「ふふふ、ハイ、Benも歌って」
いきなりのフリに戸惑いつつベンも歌う
「…!??お、oh I♪」その無茶ブリに精一杯答えようとするベンのいい人っぷりとさらに調子に乗ったホゼの台詞「Ben Williams on vocals!」に、笑いと拍手が起こる。
この後どんな風に話していたか詳細にはあまり自信がないのだけど、アレンジメントの重要さについて話していたと思う。そしてオリジナルのテンポでSpirits Up Aboveを歌った後、今度はアカペラでやや遅くして歌い始めてバンドの演奏がそこに続く。が、曲にはしっかりと入りたいということかホゼは一度バンドメンバーには演奏を止めるように指示を出し、改めてベースラインを口ずさみ、指を鳴らし、そこにネイトがドラムスを合わせておなじみのイントロが始まった。

4. Spirits Up Above
ついに!待望の!ライブであのSpirits Up Aboveを聞ける時がやってきた!と興奮する僕の頭の中は「!」でいっぱいになった。この瞬間が来る時を何年も待っていたのだから。
…しかし実のところ、直前のMCでテンプテーションズやアル・グリーンのくだり同様にこの曲も鼻歌気味に歌い始めていたので、下手するとMCの中の小ネタで終わりはしないかと少し不安になる瞬間があった。だからこそちゃんと仕切り直して演奏が始まった時に、余計に喜びを感じたのだけれど。
ベースが印象的なあのイントロが生演奏で聞こえ始めた時点でおそらく僕は会場の誰よりも興奮していたかもしれない。
ローランド・カークのオリジナルと比べてもだいぶ遅いテンポにしてあるアレンジは、なるほどAl Green版のI Can’t Get Next To Youにも事前に言及していただけある、ということか。
ただ、このイントロを聴いている間にも数年越しの疑問が頭に浮かぶ。ホゼ版アレンジの最大の特徴であるあの多重録音のコーラスの部分はどうするのだろうか?卓也さんが歌うのか?さっきのベンの歌は前フリだったのか?…幸い歌はコーラス部分しかないという曲の構成上、すぐに答えは出た。意外にも、バックコーラスは一切廃してあった。録音済みの音源を使うわけでもなく、ひたすらホゼは一人で歌ったのだ。出だしは低いパートで渋く。低体温という表現すら頭によぎった程のクールさ。最低でも3つのパートでハーモニーを構成していたのが音源版だったが、その一番低いパートの再現と言うべきか。何のサポートもなしの独唱だったのでやや異質に響く。
まあ、この曲に限らず、いつもの「歌えるベーシスト」サロモン・ドーシーが帯同していないのいうこともあってか、今回のショーではバンドメンバーは一切歌わなかった。彼らはただただ演奏に徹していた。
もちろん昨年のツアーのように録音済みのホゼ自身のコーラス部分を流す選択肢もあったかもしれないが、それすらもなかった。
流石に序盤とはいえこれで続けるにはキーが低すぎて気分が盛り上がらないかもなー、と思っていたところ、次は1番高いパートの部分をひときわ熱い歌声で歌い始めるホゼ。これはカッコええ!なんだこのギャップ萌え一点豪華主義!(意味不明)
いやー、ここでの歌唱が翌日観た分も含めて最高だったと思う。好きな曲だからというひいき目抜きにしても、だ。
バックコーラスなしであっても、この熱さでひとりで歌えるのであれば、他には何もいらない。それほどの説得力のある、非常に力強い歌いっぷりだった。後はもう曲の間中、ひたすら彼の声の響きに浸るだけだった。至福のひととき。
ただ、この熱量とキーの高さは負担も大きそうだなとも思った。なんとなくこれまでセットリストに入っていなかったのも分かるような気がする。
とはいえ少なくともこのステージでは少しも揺らぐことないヴォーカルでほとんど歌いきったホゼは、終盤に入るとこの遅めのテンポの中でとある曲の歌詞の一部をループさせるように繰り返し始める。恒例ともいえるヒューマン・ターンテーブリスト・パフォーマンスだが、曲前のMCはここで前フリとして機能したことになった。
I...oh I♪
can’t get...can’t get next to...
can’t get next to you babe oh I...
なるほどそう来たかー。
実はこの曲はこの後にやる数曲でも途中に入っていた。ホントに好きなのね…
と、しみじみと思っていたところでバンドがホゼの合図でまた演奏をストップ。
ちょっとスクラッチ音も混ぜつつOh I...とI see an...を少しだけ交互に繰り返したと思ったら、そこからI see an old man sitting on the park bench〜と聞き慣れた詞に移行し、(looking up his) mustacheの直後からバンドの演奏も追随し始める。なんとスリリングな展開か。

5. Park Bench People
そう、もはや恒例というか、どんなアルバムの発売直後のツアーでもセットリストから外されることがなかったため、元々The Dreamer収録曲であることを忘れそうになりがちなPark Bench Peopleが今回も始まった。
中盤には黒田→大林→ネイトの順でソロが入った。もちろんみなさん素晴らしかったのだけど、やはりNate Smithのソロは凄まじかった。もはやお馴染みの光景となっている各種SNSへの投稿用にホゼがひたすらスマホでそのドラムソロの様子を録画し続けるシーンも見られた。ここでの彼は世界一幸運なネイトのファンである。ゆるい光景ではあるのだけれど、ホントに尊敬してるのが伝わってくる。
ネイトのソロ終わりで拍手が巻き起こる中、ホゼがスマホを再びマイクに持ち替えて歌い出すが、そのうち少しの間、演奏がパッタリと止められる瞬間が訪れる。どうしたのかなと思い始めるかどうかぐらいのタイミングでアカペラでラップを始めるホゼ。Dead PrezのPolice Stateだ。少し遅れて曲に合わせたテンポで演奏が加わり始めるのだけどこの再起動する際の音のうねりがまたカッコよかった。もちろんホゼのパフォーマンスなので、このまま普通にラップをカバーするだけでは終わらない。ドラムスに合わせて口でスクラッチ音やらを交えつつ、途中でさらに別曲に移行したり戻ったり。今回PBPにミックスされた別曲(毎年何が挟まれるのか予想するのが楽しみにしている)は、一昨年からの流れと同様、Dead PrezのPolice StateとBehind Enemy Linesの二曲だった。大まかな順番だけで書くと、PBP→PS→BEL→PS→PBPという様に、途中で行きつ戻りつして最後に元に戻るという構成。
選曲から察するに、一昨年のショーの様なあからさまな言及こそないにしても、ホゼのアメリカの現状への苛立ちや憤りはちっとも収まっていないのだろう。実際のところ改善はしていないのだから。
なお、ホゼのステージ上での動きには変化が見られた。狙いは正直よくわからないのだけど、敢えて一瞬口をつぐんで顔の向きを変えるモーションが挟まれていた。なるほど…
やはり分からん( ̄▽ ̄;)
ここにもし宗教的・政治的に深い意味があったら怖いので、大抵の疑問は終演後に本人に尋ねてしまう僕も疑問のままにしておいた…
なお、終盤にはこの曲の演奏中間に高まり過ぎたテンションを緩めるためか、急にテンポが落とされてから例のI Can’t Get Next To Youのフレーズが挿入されていた。何回挟むんだ…そしてそのホゼの自由な展開っぷりに顔を覗き込む様にして合わせていく他のメンバーはさすが。まさにライブショーの生らしさを堪能できた。

6. Desire
静かで遅いオリジナルよりもMoodymannによるリミックスを聞くことが多かったので、今回の記念盤でオリジナル版をじっくりと聞き直す機会を得てすぐのタイミングでこの曲をライブで聴ける幸福にしばし浸った。しっとりとした歌唱も完璧にこなすホゼの、おそらくパブリックイメージに一番近い声色が味わえる楽曲だろう。この曲に関しては派手なものはなくていい。
大林さんのピアノソロはひたすら心地よく、しかし対照的にネイトはこんな曲でもグルーヴを生み出そうとソロでハードヒットする。ここも面白かったなー。

-Encore-
7. Equinox
一度退場してすぐに戻ってきてのアンコールではJohn Coltraneのカバー。こちらは今回の記念盤で追加されたうちの一曲だが、この曲がまたホゼの男らしい低めの発声に非常に合っていて、今回のような企画色が強いショーでなくても、今後もまた生で聴きたい、生き残ってほしいと思わせる力強いパフォーマンスだった。

-終演後-
ミート&グリートの機会に、今回Spirts Up Aboveやってくれたのが個人的にものすごく嬉しかったですと伝えることができた。さらに何故この曲がライブで聴ける機会がここまでなかったのかを率直に尋ねたところ、「この曲はライブでやるのが難しいんだよ」とかなり直球に答えてくれた。さらに逆に「どうだったかな?」と訊かれたので、こちらも正直に「あのアレンジをどうあれをやるのか疑問だったけど、シンプルかつタイトで熱かったのですごく良かった」と伝えた。
ただやはりあの熱唱は負担が大きいのだろう、次の日に観たセカンドではこの曲は無かった。ファーストではやったと聞いたのだけど。今回のツアーでは二公演ある場合、1日のうちのどちらかでしかやらなかったのかもしれない。まああの全霊を込めた熱いパフォーマンスを見ればそれも納得だ。
最後に明日のショーも観に行くことを伝えたところでがっちりとした握手を求められた。この回だけでも大満足の見事な内容だったけど、次はどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろう。こんな期待を持たせてくれるアーティストはなかなかいない。


オーティス・レディングのトリビュートコンサートの参加メンバーがスゴイ!

2018.01.25 Thursday | by garahebi
現地1/25にApollo Theaterで行われる"(Sittin' On) The Dock Of The Bay" 発売50周年を祝うイベント、An Evening of Respect: Celebrating Otis Redding & 50 Years of "(Sittin' On) The Dock Of The Bay"の参加メンバーがソウル/R&Bファン的にとてつもなく豪華だ。 ホストが女優のWhoopi Goldberg、演奏はSharon Jonesとのコラボレーションでも知られるThe Dap-Kingsが担当するという。そこにゲスト歌手が入れ替わり立ち替わりでパフォーマンスを披露する形式らしく、そのゲストとしては当初はまずVintage TroubleからTy Taylor(見事な人選だ), St. Paul & The Broken BonesからPaul Janewayが発表され、残りは伏せられていた。
この時点では渋く、しかしとてつもなく熱いパフォーマンスが期待できるものになることは予想されていたが、最終的に発表された参加ゲストのリストを加えると豪華絢爛という言葉がしっくり来る。
デスチャのMichelle Williams、最新作も素晴らしかったLedisi、Aloe Blacc、久々に名前を見た気がするNikki Costa, そして人気テレビドラマシリーズEmpireでもお馴染みのJussie Smollettがまずは目を引くところ。
そしてOtisの息子たちにしてThe Reddingsのメンバーとしても活躍するOtis Redding III, Dexter Redding、その他にはWarren Haynes, Marcus King, Preservation Hall Jazz Band, さらにはBooker T. JonesにSteve Cropperまで!
これは少しでもいいから動画とか観たいと思わせるラインナップだ。



Soul Camp 2017 初日(2) Roy Ayers

2017.10.16 Monday | by garahebi

そういえば今年新木場で観たMary J. BligeMy Lifeの前にサンプリング元のEverybody Loves The Sunshineを2分近くバンドに演奏させてたなぁ、とか2年前のSoul Campで観たLord FinesseはかつてSoul Planでゲストに招いてヴィブラフォン演奏してもらってたよなあ、とかいろいろと思い出しつつ、初めて生で体感する演奏への期待はひたすら高まっていた。

そう、Soul Camp初日の3組目のライブアクトはRoy Ayersだった。

この人の場合はもうサンプリングやカバーで誰もが知っている曲だらけなので、今年の「いかにもヒップホップフェス」といった濃いラインナップにひょっこりと入っていても全く違和感がない。
かなり御高齢なのもあり、歩くのもどっこらせといった感じのスピードなのだけど、いざマレット・シンセサイザーを前にして、いざと構えたその瞬間から、年齢を忘れさせるほどキレのある、それでいて実に流麗な演奏を聞かせる。心地よすぎる!
もちろんあの独特のヘタウマ味わいあるしゃがれた歌声も聞かせてくれた。

その歌声はMahogany Vibeで聞けたそのまんまだったのだけど、その盤での2曲のリメイク(SearchingEverybody Loves The Sunshine)で共演したErykah Baduとの共演はこのステージでもこの後のステージでも結局は無かった。

ちなみに約1時間の持ち時間の間、Roy師がスツールなどに腰かける瞬間は無かった。というよりもそんな休むためのものは初めから用意されていなかった。
歩く姿は完全におじいちゃんなのだけど、その足腰や強さはこれまでのキャリアで培われたものだろうか、終始手すりにもたれて見ていた僕からしたら本当に驚異的。

驚きといえば、一曲目のSearching序盤のトラブル(ケーブルの接触不良?)で数分間、よりによって主役のロイさんの演奏が無音になるという事態に陥ったのには戸惑った。ただ、やりなおしが出来ないほど終了時間のスケジュールがカチッと決まっていたのか、そのトラブル対処中にもバンドが演奏を続けて成立させていたのが印象に残った。これはもちろんそれだけのことが出来る力量があるからなのだけど。特に鍵盤奏者のEverett Freeman氏のプレイはかなり洒落ていて心地よかった。時に主役の座を奪う勢いですらあった。
そのバンドの各メンバー、各曲でとるソロの時間がみんな若干長いかなという感はあったのだけど、その様子を孫の成長ぶりを楽しむようにじっと見つめているロイさんの姿を見せられたら何も言えなくなる。

その中で、ドラマーのChristopher De Carmineは途中で打ち込みクラシックスとでもいうべきAudio TwoTop Billin’と、Bell Biv DevoePoisonのドラムパターンを生ドラムで再現して客席を大いに沸かせていた。これを普段のRoy Ayersの単独公演でもやっているのかは定かではないけれど、こういった場に合わせたであろうミュージシャンのプレイは次のErykah Baduのステージでも見てとれたところだった。その辺は次のポストで改めて。

セットリストとしてはSearchingから始まり、Red Black and Green, Running Away, そしてEverybody Loves The Sunshineで終わり…と思いきや、最後に若干半端に時間が余ったのかもう一曲やっていた。ただそれがなんという曲かよく分からなかった(Summertime?違うかも)が、序盤でややボサノバっぽくロイさんが歌った後、彼だけがステージを去り、残った部分はバンドが演奏でつないで締めくくるという終わり方だった。

何にせよ次のErykah待ちの人も多かったであろう聴衆を大いに沸かせ続けたRoy Ayers氏とバンドメンバーのパフォーマンスは見ごたえがあった。

 

今後のSoul Camp、歌手はもちろんだけど、こういう大御所枠が毎回あってもいい気がする。

そんな気持ちにさせられるステージだった。


-personnel-
Roy Ayers (Mallet Synthesizer)
Everett Freeman (Keyboards)
Trevor Allen (Bass)
Christopher De Carmine (Drums)


Soul Camp 2017 初日(1) Showbiz & A.G. & Brand Nubian

2017.10.14 Saturday | by garahebi

昨年の日程、参加アーティストの縮小っぷりとそれでも解消できなかった客入りの悪さから今年は開催すら心配していたMTV presents Soul Campだったが、一昨年の初回と同じ二日間開催に戻り、開催場所も豊洲Pitに戻された。

やはりこちらの会場の方が少なくと屋内で開催されるライブは天候を心配することなく楽しめるし、何より段差があるのでスタンディングでも位置どりさえ失敗しなければ見やすい。来年もあるならできれば同じフォーマットでお願いします。

それにしても今年はBNJFも消えたし、ネスカフェの謎フェスも無かったし、グリーンルームもラインナップに魅力を感じられずにスルーした。去年またかよーとか言いながら何度も足を運んだ赤レンガ倉庫のあの会場にいい思い出皆無の一年となったなぁ…

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さて、2日開催のうちの初日のライブアクトはShowbiz & A.G.Brand NubianRoy AyersErykah Baduという組み合わせ。すみません、2日間ともLiveステージに閉じこもった結果として、DJステージは今年もスルーしました。

発表当初は序盤2組が渋すぎるかなと思ったけど、始まってみればわざわざ日の高いうちに集まるほどのファンばかりなのだから、満員になっていたわけではなかったけど非常に盛り上がった。そんなわけでその前半2組についての感想を。

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1. Showbiz & A.G.

Showbiz & A.G.の二人はほとんどMCに専念。DJはBoogie Brownという専任がいて、ShowbizはそのDJさんのソロタイムの途中で隣でドラムパッドを叩いて参加するぐらいだった。

ひさしぶりの会場ということもあり、実は序盤5分ほどを見逃したのでセットリストを完全に把握してはいない。記憶にある限りのない振り返りとなるのだけど、Catchin’ Wreckから間髪入れずにそのままStill Diggin’,に入り、Silence of the Lambs, Fat Pockets (Radio Remix), Party GrooveSoul Clap、そしてDJ PremierによるNext LevelLate Nite Mixで締める、というそこまで彼らを熱心に追いかけているわけではない僕でも楽しめる彼ら自身の代表的な曲満載のセットだったが、途中、一昨年のLord FinesseもやっていたBig Lへのトリビュートタイムもあった。Ebonics (たぶんRemix), Put It On、そしてD.I.T.C.Day Oneも交えるあたり、やはりD.I.T.C.のクルーとしての結束力というものを感じた。

ショーが終わり、ステージを去る間際にBoogie Brownがやはり故人であるターンテーブリストRoc Raidaにも敬意を表するように促して観客たちが共にX(X-EcutionersのXだろう)の文字を両手で作らせるようにしていたのも印象的。こういうファミリー感、結束感はヒップホップにおけるポジティブな要素の一つだ。


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2. Brand Nubian

続くBrand NubianGrand Pubaを除いたDJ AlamoLord Jamar、そしてSadat Xの三人というラインナップ。

ステージ開演30分以上前に、一度姿を現してサウンドチェックで1曲, Word Is Bondをまるごとやっているのを見られたのはフェスならではだろう。早くからステージ前に駆けつけていたファンにとってはこの上ないご褒美だった。その後一旦一同はステージから離れ、開演までしばし待った。

その待ち時間の間にも90年代のヒップホップクラシックが流れるのがこのフェスの嬉しいところだが、DJがプレイしているわけではなく、ただ音源が流れるだけなのでそこにはライブ感はない。特にあるタイミングではEPMDのCrossover→Kris KrossのJump→House Of PainのJump Around→RedmanのTime 4 Sum Aksion→OnyxのSlamという流れで、大昔の日本のソニー発のFat Jams Vol. 1をそのまま流しているだけではないかというところもあった。まあどれも定番曲なので嫌じゃないですが。

さて、改めて登場したBrand Nubian御一行。

リハーサルしていたWord Is Bondから始まって、こちらもやはりフェス向けというか1時間あるかないかの持ち時間にTo The Right, Brand Nubian, One For AllDon't Let It Go To Your Head, Punks Jump Up To Get Downといった代表曲を中心に詰め込んだ内容。終盤にLord JamarSadat Xがソロ作品から一曲ずつ、ワンコーラス分だけとはいえやってくれたのも嬉しかった。Lord JamarThe BeatlesをカバーしたNina SimoneHere Comes The Sun使いのThe Sunを披露。そして次のSadat Xの方はThe Lump Lump!フックでGroove TheoryTell MeAmel Larrieuxの歌い出し部分が繰り返される大ネタ丸出しで好きな曲なので、これをやってくれたのは本当に嬉しかった。

思いきり個人的な思い入れの話をすると、そのTell Meのシングルには6 Karat Hip Hop MixというBrand NubianのMC勢が参加したremixがあり、リリース当時からオリジナルよりもそちらを聞くことが多かった。そのバージョンではMary Jane GirlsAll Night LongではなくEddie Brickell & New BohemiansWhat I Amがループされていた。つまりゲストの代表曲に合わせてネタの差し替えが行われていたのだ。

ということを踏まえると、そんなSadat XThe Lump Lumpの直後がショー全体でのシメとなるSlow Downだったのは個人的には最高の流れだった。

余談だけど彼らはコール&レスポンスの一環として、ショーの途中で観客にFxck Donald Trump!と何度か言わせていたのが印象的だった。ほんっとにみんな嫌いなんだろうなぁ…


Soul Camp 2017 初日の感想一言メモ

2017.10.12 Thursday | by garahebi
Soul CampでのErykahのショーを観てからMobb DeepのShook Ones pt. IIのオケが頭で鳴り止まない。生まれ変わった...& Onで大観衆が揺れる光景。あれこそ非ラップ・アクトもちゃんとどこかヒップホップと繋がっているという、Soul Campらしさが最も分かりやすくrepresentされた瞬間の1つだったのでは。

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